東京海上日動火災保険賞

だがしのとりこになって

ニューヨーク育英学園アフタースクール(アメリカ)

小3 金子 奈良

    

 私は、夏休みに入ってすぐに一時帰国をし、日本の小学校に通いました。ある日、お友だちのこころちゃんといっしょに帰っている時、「安くておいしいおかしが買えるお店が近くにあるんだけど、いっしょに行かない?」

とさそわれました。そして私は初めてお友だちと待ち合わせをして、買い物に行きました。学校から帰ってきてからすぐに二百円をにぎりしめ、待ち合わせ場所の交差点に向かいました。

「こんなに少ないお金で本当におかしが買えるの?」

と私は心配になって聞きました。するとこころちゃんは、

「だいじょうぶ。たく山買えるよ。」

と安心させてくれました。五分くらい歩くと、木でできた古いお店につきました。中にはおばあさんが一人座っていました。こころちゃんに続いておそるおそる中に入りました。たなにはたく山のおかしがぎゅうぎゅうにならんでいました。こころちゃんが

「これ全部だ・が・しって言うんだよ。」

と教えてくれました。私は今まで見たことがない小さなだがしたちにくぎづけになりました。さらに、だがしの上にある値札を見てびっくりしました。十五円や二十五円と書いてあったからです。

「安い!」

私は小さなかごにいきおい良くだがしを入れていきました。そのと中、十円ゲームがあることに気づきました。ボールをはじいてゴールまで運べたら十円もらえるのです。私はさっそくやってみましたが、と中の穴にボールが入ってしまい、四回ともゴールまでボールを運べませんでした。でも、四十円で楽しむことができました。それから、だがしが山もりに入った小さなかごをおばあさんのところに持っていきました。さいごにレジの横にある冷たいアイスもかごに入れました。全部で百四十円でした。こころちゃんが言っていたとおり、二百円で本当にたくさん買えました。私たちは冷たいアイスを買ったので、大急ぎで家に帰りました。私たちは買ってきただがしをテーブルに広げてみました。テーブルがだがしでうめつくされて、だがしテーブルの完成です。おたがいにちがうだがしを買ったので、分け合って色々なだがしを次々に食べました。たった数十円のだがしがびっくりするくらいどれもおいしくて、私はすっかりだがしのとりこになってしまいました。これが、私とだがしとの出会いです。

 私はアメリカに帰る時、だがしをキャリーケースにパンパンにつめこみました。そして学校のランチのときに食べるおかしとして、だがしを持っていきました。すると、アメリカのお友だちのリリーから

「おいしそうだな。一個ちょうだい。」

と言われたので、私は一つあげました。それを一口食べたリリーはとびっきりの笑顔になりました。私はかわりにチョコグミをもらいました。学校がお休みの日に、私はお友だちのキャラのお家でプレイデートをしました。おやつにだがしを持って行きました。それを食べたキャラは

「日本のおかしって本当においしいね。」

と目を丸くして言いました。私はかわりに十色ペンをもらいました。また、午前じゅぎょうの日に、私はお友だちのよりとくんのお家にパン作りをしに行きました。私はお礼にだがしを持って行きました。パンを作り終わったあと、私たちはゲームをしていました。おやつの時間にお母さんたちが私が持ってきただがしを出しました。すると、みんなゲームを放り出してだがしにとびつきました。だがしはゲームにも勝ってしまうのです。

 また別の日には、私は家族とスーパーに買い物に行きました。百円で買えるものは何かなと思い、探してみました。百円はアメリカのお金にすると六十五セントくらいです。おかしコーナーやレジの横のたなを探してみましたが、六十五セントで買えるおかしは見つかりませんでした。やっぱり日本の安くておいしいだがしはすごい! 私はますますだがしのとりこになってしまいました。

 だがしは日本では小学生のおこづかいでも買える安いおかしです。でも、アメリカではそれ以上の価値があるのだと気付きました。なぜなら、チョコグミや十色ペンに変わったり、ゲームにも勝ってしまうからです。だがしはへんしん上手で、何より、みんなをとびっきりの笑顔にします。私は今日もそんなだがしのとりこなのです。