リーダーに必要なもの

2017年、オーストラリアでのタウンホールミーティング

綿引 平井さんには「自分が置かれている環境を受け入れる勇気があるのを感じます。 

 

平井 いくら悩んでも悲しんでも、現実は変わらないわけですから、それはあるものとし、どう対処するか考えた方がいいですよ。マネジメントと同じ、リーダーマイナスことが起きた時にいかにプラスに持っていくかいうこと求められていて、社員はそれを見てるわけです

そういうネガティブなことが起こった時こそ、強いリーダーシップを発揮するチャンスなんですよね。「ぎ込んでる場合じゃないですよ」と、よく話をしています

どもたちにはちょっと当てはまらないかもしれないです、マネジメントでよく言ったのは、一番よくないのは「決め」を出さないこと、ということでしょうか。一番いいのは正しい判断ができることですが、間違った判断をしても、間違ったとわかったら、そこで軌道修正すればいいんですよね。

判断しないと、みんなが宙ぶらりんの状態になってしまうので。早い決断」と「起動修正」がペアになっていれば、うまく回ります1回決めたの、間違いだとわかって絶対変えないというのはダメです(笑)。 軌道修正するという柔軟性が必要です。

 

綿引 会社に入ると、いろんなスタッフとかチームのメンバーがたくさんいるわけですから、子どもの時いろんな友だちがいた方がいい。ちょっと変な言い方ですが、どもの頃から意思決定する時にどういう友だちが周りにいるかというのはいい経験になります。

会社に入った後どういうメンバーが自分の周りにいるのかという環境は、すごく大事すよ。それを「つくっていく」という努力も必要だと思います

 

平井 子どもの時は気が合う仲間で盛り上がるくらいのレベルだったと思うです、会社では、だちづくではなくマネジメントづくりなで、イエスマンではなく、違う視点で「異見」を言ってくれる人を重宝しました。

ノー、もしくは違うって言ってくれるから、そこにバリューがあるんだ。異なる視点をちゃんと提示してほしい」と、いつも言ってましたね。

 

綿引 平井さんが、本当にそういう視点を持たれているので「ノー」と言えるのでしょうね。違う考えを持った人たちが平井さんの周りに集まってくるみたいな。 

 

平井 発言の安全性が担保されていなければ、だれも言ってくれないですよね。だからこそ、出てきた良い意見はどんどん採用します。

そして大事なのは採用した後にうまくいったら「〇〇さんの提案でした」と、取締役会できちんと説明すること。一方で、うまくいかなかったら選んだ私が責任取ります」と。

そこまでやって初めて、いろんな意見出てきます。心理的安全性が守られ手柄はくれる、きちんと責任を取ってくれるリーダーだからこそ、うまくいきます。 

 

綿引 なるほど。そういう人が集まって来れば来るほど、正しい意思決定、新しい意思決定をするチョイスが出てくるですね。同質の社会はすごく居心地いいけど、違う。 いろんな考え方の人の中にいる方が面白いですよね。

 

平井 ええ。面白いし、「そういう見方があるわけ?」と刺激があります。特にソニーの場合は映画もやってれば、金融もエレキもといろんなことをやってるわけです。

私はゲームと音楽専門でやってきたので、全部知ってるわけではないですから、きちんと議論のできるマネジメントチームいてくれないと、全部一人で決められません。彼らの専門的な見解にらざるをえないし、「そういった意見尊重する」というのはしないといけませんね。


綿 子どもたちに対するリーダー像として心強いメッセージですね。日本人いいところなのか、悪いとこのか、我々には相手が言ってほしくないこと口に出さない方がいいというようなところがありますよね

失敗をできるだけしないように安全な道を行くとか人様にやるとか。でも、それでは企業はなかなか成長しないし、新しいもの生まれない。新しい友人もできないですよね

 

平井 失敗は避けられません。避けるのではなく、どうやってリカバリーするか、そのためには失敗を重ねることが大切なんですね。

これはある大先輩に言われたことなのですが、「日本トーナメント制1回負けたらおしまいだ」と。

たとえばサラリーマンで支店長までいったけど、融資で失敗したらそこでおしまいとかですね。スタートアップ1回やって、潰してしまったらもうお金貸してもらえないとか。そんなことでは「イノベーション起こそうというリスクをだれも取らなくなってしまう。

リーグ戦」でないとダメなんですよ。失敗の中に学習があってそれを次にかせるかどうかいうのが大事だし、そういう環境をつくってあげるの大人とかリーダーやるべきことですよね。

アメリカではスタートアップでことごとく失敗しても、勉強し、新しいアイデア出してくれば審査して、よければまた投資してくれます。社会全般で敗者復活ができるということは大切ですよね。

そういう環境をつくるために、私がよく例として出すのが頑張って素晴らしいアイデアだと思って、私もいいと思った商品が売れなかった場合です。一生懸命に考えて、マーケティングして、商品までこぎつけたという努力と、そのイノベーティブなアイデアは決して無駄ではない

打ち上げをして「プロセスまでは最高だった。ここまでよくやった」と労をねぎらいましたね。すると「よし、次また考えよう」となります。そして、周りはその様子を見ていますから、「失敗したわりにはなんか盛り上がってい。じゃあ、自分もアイデア出してみようか」となるのです。そういった環境をつくっていかいとダメですよね。

ありとあらゆる場面で、リーダーは部下のモチベーションを上げるのが大事です。なにを言うか、言わないのか。行動するか、しないのか。それはまさしく海外で、お子さんたちのモチベーションどうげるかにつながります。

親御さんや学校の先生も含めて、まわりの大人がのようにして子どものモチベーションを上げていくどもたちつねに見ていますし、聞いていますし、大人の行動もしっかりチェックします。高い基準というかハイスタンダードに自分を置かないけないですね。

 

綿引 たとえば、親御さんが、現地のことを子どもの目の前で悪く言ったらどもはそのを楽しもうという気持ちにならない。親として、せっかくここにいるのだから、楽しんで生活しようよと、子どものモチベーションを上げていくのは大事ですね。 

 

平井 親御さんの言動がポジティブロールモデルならないといけないですよね。 

 

綿引 平井さんはこれまで、いろんな状況で、いろんなチームで働いてこられたと思いますが、チームの人たちといっしょに働く意味は、何なのでしょう。 

 

平井 いちばんの意味は、一つのミッションなりビジョンもしくは目標というのを共通認識として持って、共通の目的を互いにシェアし、理解自分たちは何をする考え、同じ方向に向かっていく場をつくるということでしょうか。よしなに「よろしく」ではなく、ミッションビジョンバリュー」をきちんと説明して、腹落ちしてもらうことが大切です。

 

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