コミュニケーションの価値

ニューヨークでの子ども時代、友だちと。後列中央が平井さん。

綿引 欧米は個人主義の文化だとよく言われますが、家族やコミュニティを大切にする文化もあって日本人的には共感しますね平井さんはいろんな強みをお持ちだと思うのですが、子どもの頃に自分の強みを感じられたのは、いつ頃でしょう?

 

平井 だちは、私が日本人だということを知ってますから日本のことを教えて」と言われることがありました。それなりに日本について説明する機会があったりすると、これって私にしかできないことなんじゃないか」と。

日本はこうなんだよとか、家は全部紙でできてはいないんだよとか、靴は脱いで上がってくださいとか。 日本のこと説明できるし聞いてもらえたいうところで、付加価値を感じたというか、「求められて」という嬉しさはありました。

 

綿引 逆に日本人が日本に入ってきている外国の子どもたちに接する時も、そういう姿勢はすご大事ですよね。友情とか、友だちづくりとかは、興味を持つところから動き出す興味を持たないで、閉じこもってしまったら何も生まれない。「違いこそが価値」なんだ、と。 

 

平井 そうですね。いかにコミュニケーションを取るかということだと思います。子どもにこういったもの求めてはいけないかもしれませんが、結局、現実として、海外に置かれた自分というものが、そこにるわけですよ。

じゃあ、この機会を、どういうふうに使うのか使わないのか使うとすれば、何が大事で、何が大事じゃない。そういうことよく考えて、どうするのかを決めることが大切だと思います。

よく考えて私はどう考えても日本人といっしょに集まって、日本語だけ喋って日本に帰るのがいちばんいいと思うだったら、それでいい。でも、本当によく考えてそれをやってくださいね、と。

だちをつくりたいと思ったら、行動すべきです。成り行きでそうなってしまったとか、日本人はこうだから、とかというのでは残念でならない。せっかく海外に行ったのですから

 

綿引 仮から「ここは危ないから外出してはいけないと言われたとしても自分の興味とか関心事は、最善の注意を払いながらやった方がいいと思いますね

 

平井 親は子どもからリクエストされた時、全部否定するのではなく、一歩踏み出してどものため」ということ考えないといけない思いますよね。

 

 

コンプレックスの価値

高校時代を過ごしたアメリカン・スクール・イン・ジャパンの卒業アルバム

綿引 異文化の中に入ると、コンプレックスを感じる機会があると思いますが、「コンプレックスを持つ意味」とは、どのように思われますか? 

 

平井 どちらかというと、コンプレックスを感じたのはアメリカにいた時より、小4で日本に帰ってきた時ですね。今度は日本の社会に適応しなければいけないという中で、明らかに、ずっと日本で育ってきた小4年生からは遅れを取ってる。

あらゆる面でコンプレックスありましたし、1971当時、日本小学校で帰国子女は私一人なんですよね。私がアメリカ帰りだってことは、まわりに広がっていて、「ちょっと、平井、来いよ。馬鹿って英語でなんて言うんだよみたいな。

要するに仲間じゃなくてアメリカ人扱いなんですよ。国に帰ってきたのに仲間に入れてもらえない部外者扱い。勉強も、補習授業校に行っていただけなので、漢字の読み書きとか、算数とかがちょっと遅れを取っていたので、どうしたもかなあと。「なん日本に帰ってきたんだろう」と感じていました。 

 

綿引 ういう気持ちは、いま海外にいる子どもたちや帰ってきた子どもたちの多くが感じてると思いますね

 

平井 当時は、いまとは違うといますが、ダイバーシティとか、いろいろな考え方があるということを、先生もあまり受け入れてない時代でした質問したり、違うことったりすると、怒られたりしていました。

帰国当初、1年だけ、ある私立の学校に編入したんです英語の授業があったのですが、先生は私をさしてくれないんですよ。あからさまに排除されてというか、でも逆に、コンプレックスを感じながらもこういうのって面白いよね」と(笑)。

結構、能天気な方で、そういうふうに考えるようにしていたので「学校に行きたくないとかはまったくなかったかな性格的に「しょうがないなあ」と思えたのが、よかったのかもしれないですね。

 

綿引 すご大事なメッセージですね。 コンプレックスは、自分のなかで、それどう解釈するか。それによって全然道が違ってきます。

 

平井 「プロジェクト希望」ではいろいろなセミナーやっているのですが、挫折か悩み大きなテーマとしてあります。話をしていると、「なんで私だけこんなまないといけないんだろう」というのよくあるのですが、ちょっと待ってください

生徒50人いたとすれば49が楽しそうなしてかもしれません。でも実際にはほかの人たちだってそれぞれ悩むことあるし、いま皆さんに話をしている平井も、この部屋にいる大人たちも、ニコニコしてるけどみんな悩みやコンプレックスを持っているんですよ、と。

だからこそ、自分がおかしいとかじゃなくて、みんな同じように悩みながら生きているという感覚が大事だということをよく話しています。

あとはそのコンプレックスを感じた時にどのようなマインドセットをするか。どうしたら別にいいじゃないと思えるよう持っていけるか、いくつもアイデアや引き出し持ってましょう、と。

挫折したり、コンプレックスを感じたりした時に、すぐに「別にいいじゃない」と思える人もいれば、2日間は塞ぎ込んで、3日目には大丈夫です!」という人もいる。避けることはできないので「どうやって乗り越えるか」です

どう対処するかは、場数を踏まないと出てこないだからこそ、ネガティブなことが起きた時よい勉強の場」としてそれを捉えられれば、結構ハッピーになれますよという話をしていますね。

 

綿引 素晴らしいメッセージになりますね。 コンプレックス自体が自分を広げる可能性の場にもなるということですよね。

 

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