「人とは違って当たり前」と知ることが、自分自身を大切にすることに繋がる

—お子さんが5歳と1歳の時から3年間は日本の栃木県にいらしたのですね。  

 

土地勘のない場所だったので、幼稚園選びから手探りでした。決めたのは海外志向の幼稚園でしたが、それでも入っていくのに時間がかかりました。なんとなく、受け入れられにくいような。うちの子どもたちがミックスという理由はあったと思います。でも、その中で、一人、二人とお友達に恵まれて、タイへ赴任するとなった頃には離れるのが辛いほど楽しむことができました。日本では警戒心を解くことができるし、安心感が大きかったです。

 

子どもたちは栃木県では午前中は日本語、午後は英語という国際的な幼稚園に通った
子どもたちは栃木県では午前中は日本語、午後は英語という国際的な幼稚園に通った

 

—バンコクに移り8年目になりますが、現在の暮らしの様子を教えてください。  

 

ここは朝が早く、7時半には始まる学校もあります。学校選びでは、丁寧に生徒をケアしてくれる日本人学校に惹かれる思いはありましたが、今後も転勤が続くことを想定し、インターナショナルスクールを選びました。編入した頃は子どもたち二人とも英語で苦労していました。特に次男は社交的ではないこともあり、一時期は何も言葉を出せなくなるほどでした。私としてできることは、毎年、新しい先生になるたびに、「彼はバイリンガルです、話すのが得意ではないです」と申し送り事項を伝えていくことです。  

 

夫は在宅勤務が基本ですが、その代わり世界中の時間帯での仕事があるので、正直、昼夜問わず仕事をしていますね。  

 

食事は子どもたちが好きな和食にすることが多く、そういった時は夫には好きなものをデリバリーで頼んでもらうこともあります。タイはデリバリーが安いし気軽に頼めるので、助かります。

 

左:タイの定番料理「ガイヤーン」。「カオニャオ」と言われるもち米と一緒に食べるのが醍醐味。右:タイのラヨーンへ家族旅行に。仏像に対して3回お祈りを捧げるというお祈りの仕方をパパが子どもたちに講義。
左:タイの定番料理「ガイヤーン」。「カオニャオ」と言われるもち米と一緒に食べるのが醍醐味
右:タイのラヨーンへ家族旅行に。仏像に対して3回お祈りを捧げるというお祈りの仕方をパパが子どもたちに講義

 

—海外暮らしが長くなる中で、ご自身の変化など、発見はありますか?  

 

私は生まれも育ちも日本なので、「周囲と同じでいる方が楽」と考えていたこともありました。日本では、夫がタイ人で、子どもたちがミックスであるだけですごくマイノリティであるという気持ちになっていました。でも、バンコクでは隣の人と自分が違っているのが当たり前です。今は「人と自分は全く違うのだ」ということがいつも自分の中にあります。それをしっかり知ることで、人にも自分にも優しくなることができます。私は英語もタイ語もそんなにできませんが、海外という土地で楽しく暮らせてはいます。色々経験する中で、自分らしくいられるように、考え方を変えてきたところもあるのかもしれません。

「今年から、週に1日は自分のために時間を残すことにしました」と、親友と誕生日を祝うりなさん
「今年から、週に1日は自分のために時間を残すことにしました」と、親友と誕生日を祝うりなさん

 

—今後の展望を教えてください。  

 

このまま、みんなの「バンコクこころ保健室」であれたらいいなと思っています。昔よく働いてきたので、今はお金が対価というステップには心が満足できていて、次は別のステップ。恩返しや、自分が何かを差し出していくという時ですね。 

 

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