カナダ在住の吉岡ファミリーは、大和(やまと)さん、亮子(りょうこ)さん、武(たける)くん・17歳、樹(たつき)くん・15歳、大志(たいし)くん・13歳、大晴(たいせい)くん・7歳、莉梛(れいな)ちゃん・3歳の7人家族。「周囲に恵まれて、心から幸せなステップファミリー」と語る亮子さんに、日本とアメリカで過ごした経験を含むこれまでの家族の歩みと育児で気をつけていることなどについて、話してもらった。
(取材・執筆:Makiko)
私の役割は「子どもたちを安心させる」こと。教えるのは「許す」こと。
—カナダで日系企業に勤めていた大和さんは2015年に奥様に他界され、生まれたばかりの大志くんを含む3人の子どもをカナダでシングルファザーとして働きながら育てていらっしゃるなかで、2016年から2年間日本に逆駐在。そこでバックオフィスに勤務していた亮子さんと出会われたと聞きました。
その頃は日系企業で海外から逆駐在される方をサポートするような業務をしていて、そこで大和と出会いました。2年間の逆駐在の終わり頃に結婚の話が持ち上がったときには「育児経験のない私に務まるかな」という不安はありましたが、両親をはじめ周囲の理解もあり、2018年に仕事に区切りをつけ、「家族」になろうとカナダに移住しました。
逆駐在で日本に来るまでは、ご両親が交互に日本とカナダへ行き来して3人の子どもたちのお世話をしていたと聞いていました。「その役割を今度は私が頑張ろう」と。ただ、大晴が生まれ、コロナも流行し出し、一気に元気な4人の男の子たちのお母さんになるのは、たしかに難しいことでした。大変すぎてちょっと記憶が飛んでいるくらい。
—2022年から2024年の2年間は、アメリカにも駐在されていたのですね。
カナダには、語学留学していたことがあったので、もともと馴染みがありました。でも、アメリカに住むのは初めて。使用するのは同じ英語とはいえ、けっこう違うんですね。スペルやアクセントが違うこともあるし、文化も、似ているようで違う。学習言語が同じでも、やはり異なる国なので、子どもたちは新しい学校、先生、友達、通学路……環境が変わることですごくストレスがかかるんだろうって、想像しました。
そんな中で私にできることは、子どもたちを「安心させる」こと。よく会話をし、よいイメージを持って外の世界に出ていけるように、気をつけました。 家庭では、2019年に生まれた大晴と、2023年に生まれた莉梛が「癒し」として家族をまとめてくれました。
—育児で気をつけていることは他にもありますか?
いつでも、自分も他人も「許す」ことを教えるようにしています。大晴が学校に行く前に腹痛を起こしていたときには、何度も会話をして、ゆっくり聞きだすと「いやなことを言ってくる子がいる」と話し始めました。その時は、「人って間違えちゃうよ。完璧な人はいない。これだけたくさんの人が世界にいるんだから、友達も失敗しちゃうこともある。ママも失敗するし、自分も失敗しちゃうかも」と話しました。よく会話をするうちに、腹痛は起こらなくなりました。
私は茨城県の、電車の駅もないようなところの出身ですが、温かい家庭で、近所で英会話を教えてもらって、育ってきました。今も、茨城の両親が私に教えてくれたことを大切にしています。
夫の大和はもともと日系企業の駐在員家庭の子で、カナダでの駐在が終わるときに13歳で寮に入り、単身カナダに残ったという経歴の持ち主です。ですから、バイリンガル教育に関しては大和に相談することが多いです。私は目の前の子どものことで頭がいっぱいになったりもしますが、大和は長い目で見て、一歩引いたアドバイスをくれるので、彼から学ぶことは多いです。
みんなで支え、育て合う
—海外で、他国への駐在もあり、お子さんが5人いて、本当に大変だと思いますが、ご家族みなさんすごく元気で楽しそうですね。
うちって、パッと見ると7人の日本人家族に見えますよね。でも中身としては、家族みんな、外見からは想像できないような、それぞれ違ったものを抱えています。それでも、その「抱えているもの」は、ステップファミリーじゃなくても、人として生きていく中で誰しもが抱えるようなことだと思うんです。苦労やうまくいかないことって、どんな人生でもありますから。
その上で、私たちはとても幸せにやっていると思います。まずは、武、樹、大志が私を受け入れてくれたことに感謝しています。そして新しく生まれた大晴と莉梛を通して、みんなが癒されて穏やかな気持ちになれているので、それにも感謝ですね。
「育児」って、漢字にすると、親が子どもに教えるというイメージが強いけれど、私は子どもたちに教わることばかりです。他の方に「よくやっている」と褒めていただくこともありますが、それは子どもたちが私を、こういう人間にしてくれたからなんです。
他界されたお母様と、そのご両親。私の両親と大和の両親。「3組ものおじいちゃんとおばあちゃんがいるなんてラッキーよね!」と子どもたちに話しています。実際に、本当に皆にサポートしてもらって、我が家が成り立っています。
—今後の目標はありますか?
アメリカに駐在したときに、高政マリア先生(2025年3月掲載)にお世話になりました。そこで私も先生から育児への姿勢をよく学びました。日本語のリズムで、優しく子どもに語りかけてもらったのが、幼い子どもたちにとって本当によかったんです。ダイレクトな言い方の英語と違って、婉曲的な表現を使う日本語は、子どもにとって心地がいいんじゃないかな、と感じました。
あと1年で莉梛が学校に行く年齢になるので、それまで家庭で子どもたちと向き合ったら、その後は私ももっと幅広くいろんな子どもたちと接していきたいと思っています。日本人として、カナダに住んでいる人や家族の役に立っていきたいです。






