重なる引っ越しを支える、「心の持ちよう」
2026年1月19日
イマドキの海外生活

重なる引っ越しを支える、「心の持ちよう」

2011年から12年間をアメリカ(ミネソタ州、バージニア州、ミネソタ州)で、その後2年間を日本で過ごしたのち、2025年からアラブ首長国連邦のドバイに駐在しているご家族。引っ越しが多い暮らしの中でも「それぞれの土地の文化を知るのが楽しい」「学校で初日からお友達ができるから大丈夫」と話す、ひまりさんとあおはさん。「引っ越しは大変。それでも与えられた環境のなかで成長したい」と語る、母のえりさんに海外生活や引っ越しについて話を聞いた。

(取材・執筆 Makiko)  

 “Let’s be friends”  

——ひまりさんは現在ドバイのイギリス系インターナショナルスクールの8年生、あおはさんは4年生ですね。

 

母・えり:あおはは、誕生月の関係で、日本なら2年生ですが、イギリス系では4年生に入ることになりました。アメリカだと3年生に当たります。学習内容は、飛ばすことになった部分も多少あるかもしれません。

 

あおは:今の学校はアラビア語やフランス語の授業もあって大変だけど、毎日楽しいです。担任の先生はスコットランド人で英語のアクセントがアメリカと違うから聞き取りづらくて、話すスピードが速いように感じました。日本語で本を読むのが好きなのですが、ドバイに来てからは英語の本にも挑戦しています。

 

ひまり:海外の学校は明るい先生がいて、楽しい授業が多い印象です。アメリカでは先生方にたくさん褒めてもらった記憶があります。帰国時には日本の学校生活で戸惑うこともありましたが、親身になってくださる先生に助けられました。 好きな科目は理科と体育です。理科では、器具や物質の用語を日本語から英語に置き換えて覚えるのが、少し難しいです。  

 

 

——アメリカ時代には国内で2度引越しがあり、その後、日本帰国を経て、現在はドバイに。ひまりさんはこれまでに計6回以上転校することになったそう。引越しの良い面と大変な面を教えてください。

 

ひまり:アメリカから帰国するときは、楽しみにしていた学校のイベントに出られなかったのが残念でした。お友達と離れるのも悲しかったです。でも、小さいころから続けているバレエを通じて、新しい場所でもお友達を作れました。その土地ならではの文化や食べ物を知ることができるのも楽しいです。また、アメリカではバージニア州を挟んでミネソタ州に再び戻ったので、その時に同じ補習校に戻れたことで元のお友達と再会できたのも良い経験でした。

 

あおは:私は、どんな学校も楽しいです。いつも初日にお友達ができます。どこへ行っても“Let’s be friends”って言ってくれる子がいるんです。ドバイに来る時もワクワクした気持ちでした。  

 

母・えり:学校に関することはよく調べましたが、交通事情についてはよく調べきれないまま学校生活が始まってしまい、ひまりは学校までバスで1時間と、予想より通学に時間がかかることがわかりました。「蓋を開けてみて」知ったことの一つです。来てみて、知って、学んで、の繰り返しですね。

ミネソタ時代のサマーキャンプでは、当時7歳だったひまりさんと3歳だったあおはさんは台詞、ダンス、歌を覚えて、ピーターパンの劇に参加。ひまりさんは現在もドバイでオーディションを受けるなどして、演劇を続けている
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ミネソタ州の現地校インターナショナルフェアで日本を紹介。イーダイナ市は日本人が少なかったため、現地の人たちに日本に興味を持ってもらいたいという思いで参加した
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日本に帰国後、幼稚園を経て小学校の入学式を迎えたあおはさん。幼稚園の運動会の練習では「みんな一緒の動き」に慣れなかったが、友達に支えられた
日本に帰国後、幼稚園を経て小学校の入学式を迎えたあおはさん。幼稚園の運動会の練習では「みんな一緒の動き」に慣れなかったが、友達に支えられた

 

どこにいても、大切なのは「心の持ちよう」

——ここからはお母さんのえりさんに伺います。えりさんは海外の大学を卒業されたのですね。

 

私は日本で育ちましたが、「知らないところへ行きたい、知らないことを知りたい」という思いをずっと持っていました。高校生の時に、ついに行動を起こして海外の大学へ進学し、卒業しました。日系企業のグローバルな部署で働いていた時に夫と知り合いました。夫も大学院進学を機に海外に出た人なので、二人とも「外の世界」への興味が強いですね。ただ、ひまりは比較的変化を好まない性格で、ゆっくりと同じ環境にいられる方が好きなのかもしれません。それでも、このような環境をプラスに捉えて、他の人にはできない経験を通して、周囲に感謝しながら成長してほしいと思っています。  

 

 

——引っ越しのたびに、学校や習い事の調整も大変だと思います。

 

引っ越すたびに、学校選び、家選び、友達作り、習い事探し、学習計画の練り直しと、とにかく毎回、大仕事ではあります。ドバイは私も未知の場所で、学校の選択肢も多いので、住んでいた方を紹介してもらったり、インスタグラムで情報を集めたりしました。

 

バレエの教室は事前に必ず探します。これは、親が頑張るしかありませんから。駐在生活はどうしても「途切れること」が多いからこそ、習い事は継続させてあげたいという思いがあります。それでも、子どもたちに合う先生や教室を見つけるのは簡単ではありません。「同じ場所で続けさせてあげられたらもっとスムーズに上達できたのに」と思うこともあります。

 

日本にいた2年間は私も仕事をしていたので、子どもたちの新しい環境への適応や受験のサポートをしながら、先にドバイに行った夫に代わりワンオペで引越し対応をしました。調べごとは基本的には楽しんでできるのですが、あの時はさすがに大変でした(笑)。でも、今はみんな楽しくやっているので、頑張った甲斐があったかな、と思っています。

くるみ割り人形の発表会での衣装は、保護者が手作り。バレエを通じて知り合った仲間達とは今も交流が続く
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日本では週4回のレッスンを受け、バレエの大会に挑戦してきたひまりさん
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——どの国に対してもポジティブに向き合える秘訣は?  

 

どんな土地にも良いところがあることを、これまでの経験から知っているからだと思います。なるべく事前にその土地の文化を学んで、楽しみな気持ちで迎えるようにしています。日本に戻るときには、日本の良さを子どもたちに伝えましたし、ドバイに行く時も「楽しみだね、行ったことのない場所に旅行もできるね」と、良い面をたくさん見つけて話すようにしています。  

 

子どもたちにはいろいろな景色を見ながら育ってほしいと思っています。地域の行事には、まずは親から率先して積極的に参加するようにしています。それから、感性を豊かにするためにさまざまなアートに触れ、いろいろな場所に旅行に行く機会を多く作るように心がけています。  

学校で習った内容を実際に鑑賞。この時は、ゴッホの絵画『星月夜』

—これからの展望を教えてください。

 

親が周りに感謝を示し、楽しむ姿を見せていこうと思います。このような「駐在員の運命」を前向きに捉えて、子どもたちにはあらゆる経験の中から「自分」を見つけてほしいです。

これからも家族で試行錯誤しながら、選択を重ねて、成長していきたいです。     

ミネソタ時代の正月。手に入る食材でおせちを作ってお祝い
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ひまりさんがアメリカの大学に通っていた頃の親友が日本を訪れ、一緒に高野山の宿坊に滞在した
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