北東イングランド補習授業校
非常勤講師(元主任講師/小学部5年担任)
バートラム伸子
人生は山登りだ。
君の山登りは生まれときから始まっているから、登って下りて振り返るまで、山の姿を見ることはない。
見えるのは来た道に広がる景色と、これから進む道の入り口だけ。
その先は行ってからのお楽しみ。
木漏れ日いっぱいキラキラの小径。
ビュンビュン吹く風で一歩も進めない峠。
這いつくばって登るゴツゴツの岩。
迷子になって突然現れる見事な山椒の林。
出会う度に見惚れる満開の山桜。
手脚を入れるとキーンと冷たい河原の水。
色づいた落ち葉をザクザク踏み進む道なき道。
真っ白に染まった雪原から吹く凍った風。
山登りは様々な景色の連続だ。
それを面白いと思うか、苦しいと思うか、すべて君次第。
迷ってもいい。寄り道してもいい。
恐る恐る踏み出していこう。
きっと、そこでしか出会えない景色がある。
道が途中で消えてそうでもいい。曲がっている先が分からないくてもいい。
見えない先を進むのは、心臓が凍るくらい恐しくドキドキで、忘れられない思い出に変わる。
ずっとやりたいことが見つからなくても、君が勇気を出して一歩一歩山を登って下りたなら、「立派に生きたね」と君へ拍手を送りたい。
山を登って下りたところに、死という終点が待っている。そこで、いい人生だったかどうか決めるのは、君だけだ。
これを決める覚悟があれば、将来やりたいことが見つからないと君が今悩むことはない。
山を登り終えて振り返り、「ああ、美しい山だ。」と言えたなら、君の人生は素晴らしい。






