ロサンゼルス補習授業校(あさひ学園)
教員 馬場 光平
しょうらいやりたいことがみつからないあなたへ
~ボランティアがつないだ縁~
自分は将来なにをしたいのかがわからない。そんなあなたにすすめたいのが、ボランティア(社会奉仕)という形のかかわりかたである。
補習校を卒業したあと、何もしない土曜日がとても物足りなくなったころ、日系スーパーの掲示板で日本語教師の求人をみつけたのがきっかけだった。
「あさひ学園で日本語を勉強したのなら、漢字までバッチリですね。」と言われ、どこか自信のない私に 「お友だちに教えてあげる気持ちでやりましょうよ。」と声をかけてくださる校長先生。言われるがまま、ボランティアの日本語教師としてデビューすることとなる。
同年代の生徒にローマ字を使って、日本語の会話を教える。平仮名とカタカナを教える。毎週日本語放送で「エリンが挑戦日本語できます」をビデオで録画して、日本語の文法や文化を教える。コンピュータやWifi の環境があまり整備されていなかった20年ほど前。目の前の学生にどう日本語を教えるか……苦労した日々が思い返される。
その後も意外な出会いがあった。障がいを持つ韓国人児童を日本語学校で受け入れるということがあった。お母さんは、英語があまりできず、それでも日本の漫画に興味のある息子に日本語を習わせたいとたずねて来られた。日々、問題を起こす児童と母親。学校関係者との間に立ち、「ちょっと通訳して下さい」の一言から、高校で習った韓国語を生かし、即席通訳となる。
あれから15年の歳月が流れた。コロナをきっかけに教育関係に再び身をおくことになった私は、平日は現地校で幼稚園のクラスの補助に加え、日本人や韓国人家族向けの通訳もするという仕事をしている。土曜日は母校で教壇にたつという日々を送っている。
ボランティアからつながった私の人生。だれかのために今できることを……。
一歩ずつ必死に走り続けたあとにたどりついたのは、子どもたちと関わる仕事だった。
そこに人生のひとつのかたちがあると思っている。
すこし周りをみまわして、自分ができるちょっとしたお手伝いする。軽い気持ちではじめてほしい。あなたのふみだしたその一歩が次のどこかにつながっていると思うから。






