回答者:川村聖一さん(滞在国:アメリカ)
もう30年以上も前の事ですが、私は7歳から18歳まで米国カリフォルニア州で育ちました。当時の自分を振り返ると、日本人なら普通知っている事を知らなかったり、会釈や相手に合わせた言葉遣いなど、日本人が何気なく行っている行動もできていなかったと思います。
しかしいつしか、自ら言わなければ米国で育った人と思われる事もなくなりました。大人になってから学んだ日本人らしさでも十分通じると感じていますが、これは幼少の頃の親の心がけが少なからず影響していたように思います。
2018年に当時11歳の長男と5歳の次男と共に、今度は親として米国に再び移住し、自分の息子たちと共に改めて日本語、日本文化教育に向き合う事になりました。人種間の亀裂が目立つようになってしまった分断された米国では(長男の学校は8割以上がアジア人)、嫌でも自分がアジア人であることを意識させられます。
私は世界各国の企業と通信事業の交渉役をしていますが、自分のルーツを理解し、それを相手に説明できることは相手との関係を築く上でとても役立っています。自分の子供達にも、将来日本に住むかどうかは別として、少なくとも日本への理解を深めてもらいたいと思い、自分自身が親から与えてもらった経験を参考に、3つの事を心がけています。
家庭内で日本の話を日本語でする:これは観光の話だったり、食べ物の話だったり、何でも良いと思います。
日本のテレビ番組を見せる:テレビ契約がなくても、VPNを契約しなくてもNHKがオンラインで無料でみれたり、$4程度(2024年8月時点での価格)の月額費を払うとテレ東BIZがみれたりします。大きなコストをかけず、日本ではどういうことが話題になっているのかを感じ取ることができます。
- 一時帰国の時に日本に良いイメージをもってもらう:これはコストがかかるので毎年は難しいかもしれませんが、一時帰国を単に実家訪問で終わらせず、日本で小旅行を楽しむようにしています。これにより文化や土地勘を養い、「日本はこういうところ」「日本のおすすめはココ」が言えるようになります。
将来自分の道を選択するのは子供自身になりますが、日本の事を知って、日本の良いイメージを持ってもらうと、後からでも日本人らしさを身につける一つのきっかけになるのではないか、と信じて子育てしています。