
<質問> 高校生です。やりたいことが見つからず、大学の学部を決めかねています。どうしたらやりたいことが見つかりますか?
はじめに
高校に入学すると、ほとんどの高校では、1年生の夏休みから冬休みの間に文理選択を決めなければならないと言われます。
これはとても難しい選択です。なぜなら、教科の好き嫌いに関係なく、高校卒業後の進路を考え、文系か理系かを選択するのはとても大変なことだからです。
1年生のこの時期は、学校にようやく慣れ、友人もでき、「ほっと一息」という時期です。
文理の選択について、卒業後の進路をきちんと決めて選択している人は、実はごくわずかです。多くの人は、学校から決めるように言われるから仕方なく、数学は得意だけど国語は嫌いとか、英語は得意だけど物理は難しいなど、教科の得意不得意を思いながら、とりあえず、何となく、文理選択をしているというのが実情です。
決めてはみたものの、させられている感が残り、自身のテンションは上がりません。やる気も出ません。
例えば、とりあえず決めた文系でも、クラスメイトの選択を知ると、「やっぱり理系を選んでおけばよかった」といった迷いや後悔が自分の中で大きくなると、気持ちはもやもやして、何もやる気がなくなるという人が多いと思います。
こんな状況を、どう考え、どんなことに取り組むと、やりたいことを見つけることができたり、一歩前に進むことができたりするでしょうか。 そのための方法をいろいろ考えてみましょう。
仲間とたくさん語りあう
高校には、さまざまな部活や同好会があります。まだ参加していない人は、2年生からでもよいのでぜひ参加してみましょう。
高校の部活は、中学の部活以上に部員どうしの関係性が濃密です。同級生や先輩といろいろな話をしたり、聞いたりする時間が長いです。
高校生は思春期の後半に入ります。見える世界がどんどん広がり、その中で少しずつ自分の興味ある世界が固まってきます。その形成に友人関係は大変重要な役割を果たします。「へえー。こんな世界があるのか」とか、「こうやって進めていけるのか」など、これまで保護者や家族からだけでは得られなかった世界が広がっていくことがあります。
「高校や大学時代の友人は一生の友人だ」とよく言われるように、高校や大学時代の友人からは、大きな影響を受けることが多いのです。
高校生になると、中学時代以上に親をとても面倒なものと感じる時が多くなり、冷たい態度になることも増えます。しかし、友人関係によって自分の世界が固まってくると、親との距離の取り方が少しずつ上手になり、話を余裕を持って聞くことができるようになったり、親の気持ちが少し理解できるようになったりします。
ぜひ部活での先輩後輩の関係やクラスでの友人関係を作ってみましょう。刺激を受け、自分の世界が広がり、広い視野が生まれてきます。

「体験」してみよう
高校受験の際に、受験予定の高校の学校説明会や部活体験会に参加した人も多いでしょう。参加することで、志望する高校のリアルがわかり、「この学校でだったら頑張れる」との思いが強くなったという経験はないでしょうか。
高校卒業後に進学する大学や専門学校でもいろいろな形で説明会を開いています。それぞれ単独で開くこともありますが、いくつかの大学や専門学校が合同で開催することもあります。
「オープンキャンパス」と呼ばれるイベントでは、大学の各学部、各学科が、体験会や説明会を開き、大学で何を学ぶか、何ができるかを明確に知ることができます。
専門学校でも体験会が年に何度も開かれており、その専門学校で取得できる資格などもわかり、その資格を使った仕事も理解できるようになっています。
まだ進路がはっきりしていなくても大丈夫です。高校1年生からも参加できるものもありますので、友人と誘い合わせていろいろな大学や専門学校のイベントに参加してみてください。
将来何をやりたいかが見えていないと大学や専門学校の体験会や説明会には行きにくいという人もいるかもしれません。また、高校卒業後は、就職を考えている場合もあるでしょう。
そういう人には、高校生向けの仕事の体験実習があります。具体的な仕事体験ができるので、参加してみるのはどうでしょうか。
例えば、地域の医師会や大学病院などが主催して、病院の中で、医師、看護師、検査技師、リハビリの理学療法士などの職業体験ができるようになっていたりします。建設業界でも左官体験やもの作り体験などの活動が行われています。さらに、裁判所、弁護士会、司法書士会なども体験活動を兼ねた仕事内容の紹介を行うイベントを開催しています。
こういった仕事体験活動や実習の案内は、各高校あてに募集案内が送られます。担任の先生からの直接の案内や、教室や進路指導室の掲示板に案内が張られていることもありますのでぜひチェックしてください。
さらにもう少し積極的に社会とかかわってみたい場合や実際の社会を知りたい場合は、例えば、各地方自治体が募集する国際交流団の団員や高校生大使、議会が募集する議員体験や政策募集などに参加したり、応募したりして自分の住む地域社会や国際交流について考えてみるのはどうでしょうか。
こういった活動は一見、ハードルが高そうですが、実際に参加した人に聞いてみると、みんな「参加して刺激をうけて楽しかった」と答えています。
最近、仕事の体験活動が広がっているのは、主催者が高校生の皆さんに、社会に出る前に社会の仕組みや仕事をきちんと理解してもらい、その上で進路選択をしてほしいと願っているからです。そうすることで仕事のミスマッチングを防ぎ、一人一人が自分のキャリアをしっかり積み上げていくことに繋がると考えているからです。せっかくこのような仕組みがあるのですから、ぜひ利用して自分の世界を広げてみませんか。

内なる自分と向き合う
部活に参加する、職場体験に参加するといった、新しい世界に踏み出すには、最初の一歩がなかなか難しく、時間がかかるものです。しかし、新たな一歩は、いろいろな出会いを生み出します。自分自身の世界を広げ、また自分の世界を少しずつ築いていきます。
新たな一歩を踏み出すためには、まず自分はこれからどうしたいのか、そのためにはどうするのかを自分自身でじっくり考えることが大切です。一回あたりは、5分でも10分でもよいので、静かに自分自身と対話して、自分のこれからをじっくり考えてみてはいかがでしょうか。 自分と会話すると、今までのいろいろなことが頭に浮かび、そこから見えてくるものが必ずあります。
一人で自分と向き合うのが理想ですが、「難しいからとても自分ひとりではできない」と思うかもしれません。そういう場合には、高校に配置されているスクールカウンセラーに相談するのも一つの方法です。「自分の将来のことを相談したい」と申し込んで、スクールカウンセラーと話をしてみると、カウンセラーがいろいろ聞いてくれます。その誘導に従って思うことを話すことで、頭の中を整理することができます。また「自分は、本当はこう思っていたのだ」と気づくこともあります。
カウンセラーと話したからといってすぐに結論が出るわけではありませんが、カウンセラーの力を借りて、自分の考えを整理して、整理されたものを最終的に自分で決めていくと、次の新たな一歩を進めることができると思います。

おわりに
ただ何となく日々を過ごしていると、「おもしろくない」「やる気が出ない」という不満ばかりたまってきたりします。そういう日々であれば、ぜひ自分の内面と会話をしたり、同年代の友人と話をしたり、様々な仕事体験に参加したり、大学や専門学校のイベントに参加してみたりしましょう。
そうすることで、仕方なく選択するという不満の日々から一歩抜け出し、主体的に次のステージに向けた選択ができるようになります。
<回答者> 海外子女教育振興財団 教育アドバイザー 橋口浩和(はしぐちひろかず) 海外での生活は期待も大きいですし、楽しいことも多いと思います。反面ストレスもたまりやすいです。特に海外での生活を始める前後や帰国時は、これからの環境の変化を思うと、不安や心配が高まります。それらの不安や心配を少しでも軽減できるようにアドバイザーとして寄り添いながらご相談できればと思います。 プロフィール ・元文部科学省国際交流ディレクター(香港) ・元広州日本人学校事務長 ・元なぎさ公園小学校(広島県)教頭 ・2025年より現職







