子どもが無口で、学校の様子も何を考えているのかもわかりません。親としてどうしたらいいでしょうか。
2026年3月16日
子どもの教育

無口な子の本音が分からず不安です。親はどう見守ればいいですか?

<質問>
子どもが無口で、学校の様子も何を考えているのかもわかりません。親としてどうしたらいいでしょうか。   

お子さんの言葉数が少ないと、気持ちや考えがつかみにくく、学校での勉強や友人関係の様子もなかなか伝わってきません。そのため、「うちの子は、大丈夫なのだろうか」と不安を抱く親御さんは少なくないかもしれません。 

 

そこで今回は、無口なお子さんとどのように関わっていけばよいのか、三つの視点からお話をしたいと思います。  

 

① 安心・安全の「居場所づくり」 

子どもにとって学校生活は、思っている以上に緊張の連続です。授業、友人関係、先生とのやり取りなど、気を張る場面が多くあります。だからこそ、家はその緊張を解きほぐし、安心して過ごせる場所であることが大切です。 

 

無口なお子さんに対して、帰宅してすぐに「今日どうだった?」「何かあった?」と質問を重ねると、かえって口が重くなってしまうことがあります。無口な子の中には、「話せない自分」を気にしている場合も少なくありません。 

 

そこで、必要なのは、“話させようとしない”見守りの姿勢です。

「話したくなったらいつでも聞くよ」

「無理に話さなくて大丈夫だよ」

こうした言葉は、子どもに安心感を与えるでしょう。 

 

また、話を待つ間にもできることはたくさんあります。お子さんの表情や行動に変化がないかをそっと観察し、気づいたことがあれば、

「おかえり、一日学校頑張ったね」

「寒かったでしょう、温かいココアでも飲む?」

「洗濯物をたたんでくれてありがとう」

といった“ほめる・ねぎらう・感謝する”言葉を笑顔で伝えてみてください。 

 

このような積み重ねが、子どもの心の緊張をゆっくりほぐし、「家は安心できる場所だ」と感じられるようになります。そうした環境が整うと、無口なお子さんも、ぽつりぽつりと自分のペースで話し始めることが増えていくと思います。    

② 子どもの気持ちを受け止める

「聴き方」 無口なお子さんとの会話を育てるには、受容 → 共感 →(必要に応じて)広げるという流れが役立ちます。 

 

たとえば、学校から帰ってきたお子さんが「疲れた」とつぶやいたとします。そのとき親御さんは、「疲れたんだね」と、まずは同じ言葉を返して受け止めます。これだけで会話が終わってしまっても構いません。大切なのは、子どもの言葉を否定せず、そのまま受け取ることです。 

 

もしお子さんが「やらないといけないことがあったから…」と続けてくれたら、「そうか、たくさんあって大変だったんだね」と共感を示します。 さらに心がほぐれて、「でも、それを僕一人でやらされたんだ」と打ち明けてくれたら、ここで初めて話を広げます。 

「一人でやらされたこと、よかったら、もう少し教えてくれる?」 

と、無理のない範囲で尋ねてみるのです。

 

無口なお子さんは、そもそも言葉数が少ないため、親御さんがその少ない言葉を丁寧に受け止め、気持ちが言葉として出てきたら共感し、心がほぐれてきたら少しだけ広げる。この流れを繰り返すことで、親子の会話が自然と習慣化し、子どもの様子や気持ちが見えやすくなっていきます。結果として、親御さんの不安も和らいでいくでしょう。    

③ 年齢や性別に応じた「適度な距離感」 

子どもは年齢(発達段階)や性別によって、親との距離の取り方が変わります。ここでは一般的な傾向として、いくつか例を挙げてみます(もちろん、これは個人差が大きいので、あくまで参考としてご覧ください)。 

 

● 小学生男子 

質問攻めが苦手な子が多く、まずは一緒に遊んだり身体を動かしたりしながら会話につなげると良いでしょう。気持ちを言葉にするのが苦手な場合は、親が「悔しかったんだね」などと感情のラベリングをしてあげるのも効果的です。 

 

● 小学生女子 

話したい気持ちはあるものの、恥ずかしさから言葉にできないことがあります。表情やしぐさを読み取り、「今日は嬉しそうだね」と共感を示すと安心します。交換日記や手紙など、直接話さなくても気持ちを伝えられる方法も有効です。 

 

● 中学生男子 

思春期特有の「親と話すのはダサい」という感覚が強く、会話を避けがちです。子どものテリトリーに踏み込みすぎず、ときおり「昨日も勉強頑張っていたね」とさりげなく声をかける程度がちょうど良い距離です。 

 

● 中学生女子 

友人関係のストレスが大きい時期で、「ただ聞いてほしい」だけのことも多いです。アドバイスは求められたときにする方がスムーズです。疲れて話したがらないときは、学校で頑張りすぎている可能性もあるため、LINEやメモなど、負担の少ない方法でつながるのも一つです。 

 

● 高校生男子 

自立心が強まり、干渉を嫌う傾向がありますが、心の奥では「見守ってほしい」気持ちも残っています。進路などで悩んでいそうなときは、「いつでも相談に乗るよ」と伝える程度の距離感が安心につながります。 

 

● 高校生女子 

感情表現は豊かですが、親に見せない一面も増えてきます。急に無口になるときは、ストレスのサインである可能性もあるため、睡眠・食事・表情の変化を丁寧に観察してみてください。進路や友人関係、恋愛などの話題が出たときは、否定せずゆっくり受け止める姿勢が大切です。  

 

 

なお、学校の様子を知りたいとき、必ずしも本人から聞き出す必要はありません。本人以外のルートも活用するのも有効です。例えば、連絡帳やメールで担任の先生に様子を尋ねる、 子どもの友だちやその保護者から情報を得るなどです。こうした複数のルートを使うことで、本人が話さなくても状況を把握でき、親御さんの安心につながります。 

 

 無口なお子さんは、「話したくない」「話せない」というより、言葉にするまでに時間がかかる“心の壁”のようなものを抱えているのかもしれません。これまでお伝えしてきた視点で接していただければ、その壁も少しずつ、低くなっていくのではないでしょうか。     

 

<回答者>
森脇 洋(もりわき ひろし)
海外子女教育振興財団  教育アドバイザー
森脇 洋(もりわき ひろし)
『異国の地で、その子らしく生きる』 そこには、不安・悩み・つらさが、隣り合わせかもしれません。海外経験や心理師としての見識・知見を活かして、お子さん・保護者の方に寄り添える存在になれたらと願っています。 
 
プロフィール  

・元三重県公立学校校長 

・元バンコク日本人学校教諭 

・公認心理師

・学校心理士 

・三重県スクールカウンセラー 

・三重県海外子女教育国際理解研究協議会参与

・2025年より現職