日能研賞

アメリカげんち校にそうじ係たん生

                        サンディエゴ補習授業校(アメリカ)

小3 青木 透馬

         

 「カフェテリア楽しみだな。」

ぼくは、父のてんきんで一年前にアメリカに来た。げん地校では、ランチの時に自分の好きなものをえらんで食べられると聞いて、ワクワクしていた。学校へ行ってみると、本当にハンバーガーやピザをえらべてうれしかった。けれど、それを食べるランチコートは、おどろくほどきたなかった。一年生から学年ごとに食べるから、三年生のぼくが使うころにはテーブルもゆかもかなりよごれている。なんで自分できれいにしていかないのかなと思いながら、ぼくはほうきでゆかをはいて、ゴミをゴミばこにはこんだ。すると、せいそう員のロッドに、

「ワイ・ドゥ・ユー・ヘルプ・ミー?」

と聞かれた。

「よごれているから。」

と、ぼくは答えた。げん地校にはせいそういんはいるけど、子どもたちはそうじをしないから、ぼくが手つだっていたのを見てびっくりしたみたいだ。

 ぼくはそれからも毎日、きたないのがいやでそうじをした。あのころ、まだあまりえい語がしゃべれなかったし、お手つだいをして休み時間をすごしたい気持ちも少しあったけど、ぼくを見て、知らない先生たちが、

「えらいね。」

と、ほめてくれるのがうれしかった。

 ロッドは毎日、

「ヘイ! バディー! ハウ・アー・ユ・トゥディ?」

と、グータッチをしてくれるようになった。それから、少しずついっしょにそうじをする子がふえた。上きゅう生や下きゅう生も

「いっしょにやっていい?」

と、言ってくれた。なんだかカフェテリアが前よりきれいになった気がする。みんなに、日本にはそうじ係やほけん係があることを教えた。すると、たんにんの先生が校長先生にもつたえてくれた。

 ある日、全校ほうそうで校長先生から話があった。

「せいそういんのロッドを助けてくれる子どもたちがいます。すばらしいことです。ここで、みんなから感しゃをつたえます。これからも、みんなで気持ちよく学校をつかえるようにしましょう。

Be safe, Be respectful, Be responsible, When even no one is watching, 

(さい後の3Beは、学校のひょう語で、

  だれも見ていないところでも、いつも安全、せきにん、思いやりを、だい一に行動しましょうという意味。)

その時は、とてもうれしい気持ちになった。その日から、ぼくは毎朝校長室に行き、校内放送で、ひょう語をつたえる役わりをもらった。べつの日の全校朝会では、学校のひょう語通りに行動できた子にあたえられるしょう(エクセプショナル・エクスプローラー)に表しょうされた。

 日本では、学校でもレストランに行った時でも、よごしてしまったらきれいにするのが当たり前だったから、こんなにほめてもらえるとは思わなかった。自分には当たり前のことが、ほかの国では当たり前でないこともあるんだ。ぼくは、日本のことが前より好きになったし、日本人であることをうれしく思った。それにぼくの行動を

「とてもいいね。」

と思いきりほめてくれるアメリカも大好きだ。アメリカの先生は、ほめたり、やさしい言葉をたくさん言ってくれる。

「あなたは世界にとって、大切な人。あなたを教えられて、本当にしあわせよ。」

と、たんにんの先生は、いつも言ってくれる。ほかにも、

「どんどん間ちがえて学びましょう。」

「むずかしく思えても、できないことはない。」

「あなたがなりたいと思うなら、何にでもなれるよ。」

という言葉を毎日言ってくれるんだ。

 アメリカに来て、日本のいいところに気づいたし、アメリカのいいところもたくさん知った。どちらもぼくの心のたからばこにならべて、ずっと、ずっと大切にしたいと思う。