JFE21世紀財団賞

幸運の使者                          

イスラマバード日本語クラブ(パキスタン)

中2 白井 奏伍

      

突然の来客に慌ててはいけない

迷惑がるなど言語道断

チャイにサモサにビスケット

季節の果物でおもてなし

 

茶葉とミルクと砂糖は常備

冷蔵庫にある食材チェック

不足は近所のスーパーで調達

 

母が次々仕上げた料理を

客間に運ぶのは僕の役目

 

イスラームでは

来客はアッラーからの贈り物

幸運をもたらすばかりでなく

その家庭に降りかかる禍を

辞去する時に持ち去ってくれるのだ

 

僕らは同時に来客にもなる

友人の暮らす街を訪れて

素通りしたら大変だ

 

近くに来たのに立ち寄らないとは

何事なのかと非難され

できれば泊まって行ってくれ

無理ならせめて食事でも

 

これがパキスタンの友達づきあい

 

旅行先、父の携帯なりやまず

観光名所は後回しして

知人の家をはしごする

行く先々で御馳走になり

レストランには行く暇もない

 

外国から来た観光客が

何より驚き感動するのは

パキスタンのホスピタリティ

おもてなしの精神だ

家に訪れた来客をもてなすように

国を訪れた観光客をもてなすのだ

 

イダル アプナ ヒ ガル サムジェーン

どうぞ自分の家だと思って

くつろいでくださいね

 

アープキ アネ パール

ボホット フゥシー ヘー

あなたが来てくれて、本当に嬉しいです

 

歓迎すること

歓迎されること

どちらも心が満たされる

素敵なパキスタンの伝統だ