<相談> 配偶者を日本に残し、シングルで子どもを帯同して海外赴任します。気を付けるべきことを教えてください。
海外赴任に向けて
海外への赴任が決まり、期待と不安が入り混じっていることと思います。
配偶者を日本に残し、シングルでお子さんを帯同するとのこと。家族全員での海外赴任であっても、さまざまな準備や子どもへのサポートが必要ですが、シングルの場合、特に配慮が必要な点や悩ましい点についてお話しします。

赴任国の法律を調べてみましょう
まず、優先されるのは、赴任される国(州)の法律です。国によっては、子どもを家に一人ないしは子どもだけでいさせることが虐待とみなされる場合があります。これが露見した場合は、法的に親の責任が問われます。虐待の対象になるのは、幼児段階までなのか、エレメンタリー年代までなのか、ミドルスクールエイジあたりでも対象となるのかなどをしっかりと把握しておく必要があります。また兄弟やベビーシッターなど、何歳以上の人が傍にいると条件がクリアされるのかも調べておくとよいでしょう。
通わせる学校について押さえておきたいこと
海外で学校に通わせる場合、日本人学校・インターナショナルスクール・現地校を問わず、徒歩通学あるいは公共交通機関を使っての通学というのは一部の国や地域に限られ、少数派です。基本的にはスクールバスでの登下校が多いと思います。
お住まいの家の最寄りのバスストップまで、だれが見送るのか。下校時に出迎えるはだれなのか。その時間に赴任者(ご自身)がいることができるのか、このあたりを確認しておく必要があります。
アメリカの場合、多くの現地校ではアフタースクールのプログラムを行っています。お子さんがいつまで学校にいられ、最終のスクールバスはいつか、保護者の送迎は必要かなども含めて、調べておきましょう。
学校によっては、早朝プログラムをやっているところもあります。キンダーガーテンの場合も延長保育、早朝プログラムなどを知っておくとよいでしょう。
通常の課業日は何とか解決したとしても、長期休業日(夏季等の休暇)や赴任者(ご自身)の出張などの場合、さらにはお子さんの体調が急に悪くなった時の対応も考えておかねばなりません。信頼できるホームドクターもあらかじめ決めておく必要がありそうです。
リモートワークについても、会社とあらかじめ話し合っておくとよいでしょう。何より、融通の利く学校(日本人学校・現地校・インターナショナルスクール)に通えるかどうかが、学校選択の大切なポイントになりそうです。

保育園(デイケア)や幼稚園(プレスクール)に預ける場合
アメリカの場合、託児許可を得ている Day care や Preschool はDepartment of Early Education Center (DEEC) のサイトで、市(学校区)やジップコード(郵便番号)を打ち込んで検索できます。自宅から近いところに電話して空き状況を確認し、空いていればアポをとって見学させてもらいます。空いていなければウェイティングリストに入れてもらうという手順になります。
週何日預けるか、午前のみ・午後のみ・終日か等、予算等を考えて決めてください。人気のあるところは長く待たされるところもありますが、春頃なら空きがあるところはかなりあるといわれています。
預け先が見つからない場合
具体的な解決策は、お手伝い(ベビーシッターなど)を雇うという人的な確保になりそうです。もちろん、信頼できる方でないといけません。あらかじめ、先輩のご家庭などから情報を入手し、できれば、生活のたち上げと同時にお子さんの面倒を見てもらう態勢を整えておきたいものです。
実際に時給はいくらなのか、炊事や掃除などもまかなってもらえるのか、登下校の見送りや出迎えもしてもらえるのかなど、細かなところまで詰めておく必要があります。
さらに経済的に余裕がある場合には、住み込みのお手伝い(オーペア)を雇うという選択もあります。
また、日本人が多く住む地域に住んだり、信頼できる会社の先輩とできれば同じコンドミニアムやタウンハウスに住むという方法もありそうです。自分以外の緊急連絡先をつくっておければいざという時には安心です。

自然条件や社会条件で留意すること
赴任国の治安や気候などにも留意する必要があります。国によっては、天候や気温などの気候状況によって、臨時休校にする取り決めなどがあります。
また、治安面についても留意が必要です。守らなければならないルールやマナー、いざという時の対処方法などについてもしっかり話し合っておくとよいでしょう。何よりも、危険な地域や場所には極力近づかないことが肝要です。
赴任者自身のケア
じつは、私も単身での海外赴任経験があるのですが、在任中、最も辛いと感じたことは、間違いなく孤独でした。相談相手、話し相手がいないというのは、国内でもそうですが、海外だとなおさら辛いものです。
日本にいる親族や友人とリモートで話をしようにも時差の問題があります。仕事や育児、家事でいっぱいになった時に、ストレスを解放する手段や方法、友人を見つけておくことが大切です。 国籍に関わらず、何でも話せる人がいるというのはかけがえのない財産になります。
お子さんがお手伝いできる年頃ならば、家事を協働していくことも一つの方法です。
また、治安に問題がなければ、お子さんと気晴らしに出かけたり、食事をしたりするのもいいでしょう。
さらに、お子さんと一緒のコミュニティセンターやライブラリーのプログラムに積極的に参加したり、観劇したり、フェスティバルに参加したりというのもよい方法だと思います。
お子さんの笑顔や心の健康の維持も大切なポイントです。
もし、心がしんどいと感じた時には我慢せず、当財団の「こころの相談」などをご活用ください。海外滞在者向けセミナーなどでも、子育てなどのお役立ち情報を提供しています。
何より自分自身のケアを第一に考えてください。

終わりに
シングルで子どもを帯同して海外赴任する場合については、事前の情報入手や下準備がとても大切になります。
渡航前に、憂いを極力解決して、実りある海外生活をエンジョイしていただきたいと思います。孤独な面はありますが、学びも多い、これが海外生活の醍醐味だと思います。
<回答者> 海外子女教育振興財団 教育アドバイザー 田村 穣(たむら みのる) 海外での生活経験は、大人である私たちにとっても、その後の人生に大きな影響を及ぼします。子どもたちにとってはなおさらです。多面的・多角的な視野を身につけるまたとない機会となります。私たちは、お子さんが自分らしく強みを発揮できるよう、お役に立つことができればと思っています。 プロフィール ・元鳥取県公立学校校長 ・元サンパウロ日本人学校教諭、シカゴ日本人学校校長 ・元全日本中学校長会副会長 ・2023年より現職







