例年JOES Davos Nextのグループディスカッションをささえるファシリテーターは、自らが海外で育った経験を持っていたり、現在海外留学中だったりする高校生・大学生のみなさんが務めてきてくれました。子どもたちと対話し、議論をまとめ、プレゼンテーション作成のサポートをするという難しい役割ですが、みんな驚くほど積極的に、期待以上の動きを見せてくれています。
もう、ファシリテーターの存在そのものがJOES Davos Nextの代名詞でもあり、大きな価値のひとつになっていると言っても過言ではないでしょう。中学生だった参加者が高校生になって、「ファシリテーターにあこがれて」と応募してきてくれる例も増えています。
ところで、今回のJOES Davos Nextでは、グループディスカッションにかわって、トピックボードが登場しました。では、ファシリテーターは出番ナシ……? もちろん、そうはなりませんでした。今回は「サポーター」と名前を変えて、彼ら・彼女らはやはり活躍してくれました。
トピックボードは、いわばワールドワイドな掲示板。顔の見えない、しかもリアルタイムでないやりとりが行われているその場を健全に保ち、参加者たちの声を引きだすという大きな仕事を担ってくれたのです。 サポーターのひとり、三本眞子さんに話を聞きました。
(取材・執筆:只木良枝)

東京学芸大学附属中等教育学校5年生(高2)
(アメリカに4年居住)
■今までJOES Davos Nextに参加されたことは?
「宇宙」がテーマだった前回、ファシリテーターをつとめました。それ以前の参加経験はありません。母がJOESのホームページでJOES Davos Nextのことを知って、教えてくれました。
最初は、「ファシリテーターってどんなことをするんだろう」と思っていました。事前研修で知識は得ていたのですが、やはり実際に子どもたちとディスカッションをしてみると、積極的に話してくれる子やそうではない子がいたり、場がシーンとしてしまったり、いろんなことがありました。でも、最終的に成果動画という形にまとめられていったことが、すごく達成感があって、もう1回やってみたいと思って、今回も参加しました。
■今回のテーマは「ウェルビーイング」でした。耳慣れた「宇宙」と違って、やりにくかったということはありませんか?
去年のJOES Davos Nextの最終回で「来年はウェルビーイング」って聞いて、ぜひそれもやりたいと思っていました。
私は文系理系で分けると文系のほうなので、宇宙といわれるとちょっとイメージできないところもあるんですが、ウェルビーイングのほうは日常生活のなかで自分が体験していることで、身近な感じがあります。
また、ときどき、母ともそういう話をしています。たとえば学校であったことを話していたときに、「友達がこんなことを言った」「それには、こんな事情があったのかもしれないよ」「そうか、そう考えればいいんだよね」といった会話になることもあって。
「しあわせ」と言っても、感情だけじゃなくていろいろあるし、人によって違うんだろうし、なんてことを思っていました。
■馬奈木先生の基調講演を視聴して、どんなことを思いましたか?
先生がいくつか提示された大切な点のなかに「健康」があったんですが、それが印象に残りました。昔から母はすごく睡眠にうるさくて(笑)、中学に入るまでは8時半とか9時とか9時半とか、もう本当に早く寝かされていたんですが、最近受験も近づいてきて睡眠時間も少なくなってくると、やっぱり健康管理が本当に大切だと感じます。
最近は、よく「30分散歩しておいで」とも言われます。行かない時もあるんですけど(笑)。母の言っているそういうことを、今わかりつつあるという感じなんですが、ひとつのことだけやっていればいいわけではない、バランスが重要だという馬奈木先生のお話を聞きながら、「やっぱりそうなんだな」と感じました。
それと、普段は数値化のことは考えていなかったので、しあわせって数値化できるんだ、それをこういう風に活かせるんだ、とも思いました。
■去年までと違って今年はトピックボードという形式になりました。実際にやってみていかがでしたか。
良かった点としては、やっぱりどこでもできることですね。私は通学時間が長いので、学校から帰る電車の中でもスマホから書き込むことができて、そういう柔軟性があってすごくやりやすかったです。
難しいと思った点は、参加者との距離を感じてしまうことでした。オンラインで話していたら「この子にはこういう雰囲気で接すればいいんじゃないか」とかわかるんですが、文字だけですし。書き込んでも参加者からの返信がなければもうそこで切れてしまって会話できない。積極的な参加を促す、みたいなことが、やっぱりちょっと難しかったかなと思います。
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■なるほど、せっかく書き込みがあっても、リアルタイムでやりとりできないので、その内容を深めることも難しいし、相手の返事がなければ次に進めないわけですよね。
そうですね、やはりキャッチボールがうまくいかないというか……。
あと、書き込むときにけっこう文章を考えてしまったんです。参加者の中にも、文章を書くことが不得意な子もいるだろうし、発言と違って文章を書くときには一回考えるので、その分、スピード感がなくなってしまうなと思いました。全体的に、もっと会話したかったなと思っています。
■今回、三本さんは英語での書き込みをしてくださいました。
去年のファシリテーターでは日本語チームを担当しました。で、今年は英語にしてみようかなと。
トピックボードのときに、サポーターごとに担当する参加者が割り振られて、この子から書き込みがあったらコメントを返してねということになっていたのですが、たまたまその参加者が英語で書き込んでくれた、っていう感じですね。英語は学校の授業でも日常的に使っていますので、私は日本語でも英語でもどちらでもよくて、特にハードルがあったということはありません。
■トピックボードに書き込みをするときの内容はどのように考えましたか?
悩みました。これを書きたいなっていうのは思いつくんですが、それをどう書いたらちゃんと伝わるかなとか、どっちの言い方がいいかなとか、そういう意味では結構迷ったりしました。相手がどういうふうに読んでくれるかっていうことを、考えましたね。
■ディスカッションとトピックボード、どちらが好きですか?
うーん、どっちもいいのかなという感じですね。
ディスカッションは楽しいけれど、2週間に1回、毎回Zoomというのは、やはり簡単にはできないことです。ただ、議論の深まりを考えたら、やはりオンラインディスカッションがあったほうがいいなとも思います。
■「JOES Davos Next」は、未来を支える子どもたちを育てる場をつくりたい、色々な地域でそれぞれ違う環境で育っている子どもたちが、学年の枠も取り払って一緒に学ぶ場をつくりたいと願って開催されています。学校以外でこういう場があることについて、どう思いますか?
すごくいいと思います。
私はアメリカから帰国後、最初は公立中学に通っていて、その後、編入試験を受けて、インターナショナルバカロレアを学べる学校に移りました。今のクラスは10人ですが、みんなそれぞれ違ったバックグラウンドを持っていて、何か議論を始めるとそれぞれが自分の体験をもとに話すので、内容がとても深まるんです。 授業自体も議論を重視していて、たとえば歴史の時間なら、生徒の誰かが担当する時代についてプレゼンテーションして、それをもとにディスカッションしていきます。他の科目もそんな感じで、毎回、なんか予測のできない展開になっていくんです。
だから、色々な人が一緒に同じテーマについて考えるという場はとても大切だと考えています。
来年は高3になります。JOES Davos Next 2026 の日程がIBの最終試験と重ならないといいな、と思っています。








