25歳の男づくり
豊かな人間形成を目指す中高一貫の私立男子校
神奈川県横浜市にあるサレジオ学院中学校・高等学校は、カトリックの精神を受け継ぐ中高一貫の私立男子校。1学年約180名という少人数制のアットホームな環境で、中学校・高等学校の6年間を過ごすことができる。ローマ・カトリック教会の修道会「サレジオ会」に属する教育機関で、世界130か国以上のネットワークを活かした海外語学研修プログラムなども提供している。
同校の教育の根底にあるのは、「25歳の男づくり」。若者の完成形を18歳に求めるのではなく、社会の中で自分の立ち位置を発見し、実現しているであろう25歳に置いて、そこに向けた教育を展開している。
「25歳になったときに、人々のために自分に何ができるかを考え、自分が置かれた場所でアクションを起こせる人間を育成しています。大学入学がゴールではなく、その先の社会人になったときに社会に貢献できる人間を育てたいというサレジオ学院の教育理念が込められています」
そう語るのは、サレジオ学院中学校・高等学校入試広報委員長の澁谷博之先生だ。学校として、何よりも力を入れているのは「人間教育」。中学・高校という多感な時期に、自分の内面を鍛え、成功するよりも幸せな人生を送ることを重要視できる人間を育てたいと語る。
中学校・高等学校の6年間を3段階に分けたカリキュラムを提供
サレジオ学院では、中学校・高等学校の6年間を3つの段階に分けて、生徒の成長に合わせたプログラムを用意している。中学校1~2年次はキリスト教的価値観と出会い、学びと人格の基礎づくりをする時期。中学校3年~高等学校1年次は社会と自己の結びつきを考え、将来の方向性を模索する時期。高等学校2~3年次は自己の方向性や価値観を確立し、次のステップへの準備をする時期。中学校1年次から「宗教の時間」の授業を配置して、聖書を学びながら、「ルールとは何か?」といった哲学的な議論などを行い、考える力も養成しているという。
受験に向けては、高等学校の2年次から文系3クラス、理系3クラスに分かれ、一人ひとりの希望に合わせた指導をしている。文系・理系とも3クラスのうち1つは、難関国公立志望クラス。2025年度の実績を見ると、東京大学6名、京都大学2名、東北大学4名の現役合格者を輩出するなど卒業生が有名大学へ進学しているのがわかる。国公立・私立の医学部に進学した卒業生も複数おり、海外の大学にも2名(UC Santa Barbara、University of Toronto)が進学している。
「大学受験の指導には力を入れていますが、詰め込み型というよりは、一人ひとりの習熟度に合わせて、丁寧に指導しているというのが正しいと思います。数学が苦手な生徒がいれば、しっかり補習もしますし、追試だって何回でも付き合います。サレジオ会創立者ドン・ボスコの教えに『アシステンツァ』というのがあります。これは一人ひとりの特別なミッション(使命)の実現をそばで見守り、手助けすることを指します。まさに、サレジオ学院の受験指導は、『アシステンツァ』の精神で行っています」
部活動も盛んで中学校サッカー部は関東大会出場
部活動に力を入れている点もサレジオ学院の大きな特長だ。体育会系・文化系のさまざまな団体があり、中学生の部活動加入率は95%だという。特に中学校のサッカー部は、2025年の神奈川県大会優勝というすばらしい成果を上げている。ほかにもテニス部、吹奏学部なども強豪だという。
国際交流に関しては、中学校3年次に全生徒がイタリア研修旅行に参加する。ここでローマやバチカンを巡り、カトリックの歴史や文化に触れることで、国際的な視野と感受性を養う。また、サレジオ会系列の姉妹校を訪れ、同世代の若者と交流する機会もあるという。さらに、学校が主催する海外語学研修なども実施している。研修先は、フィジー、フィリピン、カナダなど。サレジオ会姉妹校との交流や現地で社会問題を知る体験学習に参加する機会もある。
学校の雰囲気は、「明るくやさしい生徒が多い印象」と澁谷先生。廊下ですれ違う際に、多くの生徒が挨拶をしている様子からも活気がある校風がわかる。制服があり、一定の校則はあるものの、多くのことは生徒に任されているという。
「今年のサレジオ祭の企画で生徒が自主的に作成した学校紹介動画を見たのですが、そのクオリティの高さに驚かされました。自分たちで動画を撮影し、編集をして、作曲・演奏までしていました。こうした自校愛が強い生徒が多いのがサレジオ学院の特色です。背伸びせず、ありのままの自分を評価してもらえることで、自己肯定感も上がるのではないでしょうか。教員は生徒の積極的な行動をよく見て、能力を伸ばしてあげたいと思っています」
毎年7月に帰国生向け学校説明会を開催
帰国生に向けた中学入試制度としては、「帰国生入試」がある。試験は毎年1月に学校で実施している。科目は国語と算数(各100点満点/50分)で、日本語の作文も実施する(作文の点数は合否判定に含めない)。入学後、英語が得意な生徒への特別な授業は用意していないが、「放課後英語倶楽部」に参加すれば、ネイティブの先生や英語科教員による指導を受けることができる。
「カトリックの教えをベースにした人間教育によって、自分の内面について学べるのがサレジオ学院の魅力だと思います。特に、勉強と部活を両方とも思いきり頑張りたい生徒には向いているでしょう。帰国生入試説明会は、7月に開催しています。また、現在海外在住で帰国生入試をお考えの方には、対応できる範囲内で、一時帰国の際に校内をご案内するようにいたします。学校の雰囲気は言葉ではなかなか説明できないので、ぜひ学校説明会などで、生徒や先生と直接話してみてほしいと考えています」