JOES Davos Next 2024への道
2024年10月15日
Davos Next

JOES Davos Next 2024への道

Wonder(未知)がfullでWonderful ! 

宇宙飛行士・山崎直子さんインタビュー

 

JOES Davos Next 2024の参加申し込み受付が始まりました。事務局には「今年もぜひ参加したい」「どんな内容になるか楽しみ」などの声が、続々と届いています。 

なかでも注目は、やはり基調講演講師の山崎直子さんです。 

宇宙飛行士の山崎直子さんは、2010年、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗して国際宇宙ステーション(ISS)へ。ミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者:MS)として、ISSのロボットアームの操作などを担当しました。当時ISSに長期滞在中だった野口聡一宇宙飛行士との軌道上での再会という感動的なシーンを、覚えていらっしゃる保護者もきっと多いでしょう。 

山崎さんの講演は2024年12月(予定)にオンデマンドで全世界に向けて配信、後日、ライブでの質疑応答の時間を設けます。Davos Next事務局からの熱いラブコールに応えて基調講演講師を快諾してくださった山崎さんからの声をお届けします。

(取材・執筆:只木良枝)

宇宙飛行士・山崎直子さん
宇宙飛行士・山崎直子さん

Davos Nextについて、どのような印象お持ちですか?  

離れた場所や異なる時間帯で生活している日本人のみなさんがつながれるというのは、オンラインならではですよね。自分が子どもだった時にもしこういう機会があったら、きっと私も参加したいと考えたでしょう。 

これまでのJOES Davos Nextのテーマは「夢」と「海」で、今回は「宇宙」です。「海」と「宇宙」は、まだまだわからないことばかりであるという点で共通しています。そしてその謎を解明していくのは、私たちの「夢」や「目標」へ向かうエネルギーですよね。 

Wonder(未知)がfullでWonderful。たくさんの「わからない」や「不思議」があふれたテーマに触れて、ぜひ知ることの楽しさを実感していただきたいです。 

基調講演はオンデマンド配信ですが、Q&Aはライブです(オンデマンド配信もあり)。グループワークのディスカッションで出てきた疑問や興味を深掘りする時間にしていただけたらと思います。みなさんからの質問、楽しみにしていますよ!  

 

 

山崎さんの宇宙へのチャレンジは、星への興味から始まったそうですね。 

子どもの頃から星が好きで、プラネタリウムによく通っていたんですよ。 

それと、札幌に住んでいた小学校2年生の時に、「星を観る会」に参加していました。望遠鏡で土星の輪を観た時は感動しましたね。日常生活の中で星や宇宙に触れる機会があったのが、大きかったと思います。 

中学生のとき、スペースシャトル・チャレンジャー号の事故がありました。発射直後に爆発、7人の宇宙飛行士が亡くなりました。そのうちのひとりクリスタ・マコーリフさんは高校の先生で、宇宙から授業を行う予定でした。

当時私は、宇宙へのあこがれを抱きつつ、教師になりたいとも思っていました。ですから、「学校の先生でも宇宙飛行士になれるんだ」と驚いたのです。 

より多くの人が宇宙に行けるようになればいいなと思い、そのためにはより安全な宇宙機が必要だと考えました。そこで大学・大学院では航空宇宙工学を学び、宇宙開発事業団(現在の宇宙航空研究開発機構:JAXA)に入ってISSの開発を担当していました。 

でも、「自分自身が宇宙に行ってみたい」というのは子どもの頃からの夢でしたから、その好奇心の方が先に立ち、やはり宇宙飛行士を目指すことにしたのです。 

 

 

あこがれていた場所はいかがでしたか? 

実際に出てみると、宇宙というものはとても広く、暗く、果てしないものでした。同時に、ISSの窓から見た地球は碧(あお)く輝いていて、これはかけがえのないものなんだ、ということも強く感じました。 

それと、地球に帰還した時に、風、草木の香り、土の感触なんかがワーッと押し寄せてきて。今まで当たり前だと思っていたこうしたものたちが、本当に貴重な、ありがたいものであるということに気づきました。 

「宇宙船地球号」と言いますよね。私たちはみんな地球という宇宙船に乗っています。その一員として、地球を大切に守っていかなければならないんだ、と。 

そうそう、「月で寺子屋を開く」というのが、今の私の目標なんですよ。引き続きこの夢に向かって努力していきたいと思っています。  

 

 

JOES Davos Nextには、いま海外で、あるいは帰国して、それぞれの場所で頑張っている子どもたちが参加します。山崎さんにはそのようなご経験はありますか?  

私自身は、子ども時代はずっと日本で育ったので、大学院生の時に一年間アメリカに留学をしたことがはじめての海外体験でした。言葉も文化も違う中での生活を通して、物事の見方が多面化し、視野が広くなったように思います。多くの友人もできました。一人一人の人間同士のつながりの中で、もちろん違いがありながらも、共通するところもたくさん発見することができました。 

宇宙飛行士として選抜されてからフライトまで11年あったのですが、その訓練期間の大半は日本以外の国で過ごしていました。アメリカでの訓練中は家族も一緒に住んでいたので、子どもは補習授業校に通っていて、週末に子どもを学校まで送迎していたこともあるんですよ。 

 

 

山崎さんのお話を楽しみにしている子どもたち、そしてその子どもたちを支える保護者や先生方へのメッセージをお願いします。  

日本と世界の国々の両方を知るということが、これからの時代はますます大切になっていくでしょう。 

海外で暮らしているみなさん、大変なこともたくさんあるでしょう。でも、みなさんが今、現地で経験していることに自信を持って下さい。その暮らしの中から得られる視点の広さを、どうぞ大切にして欲しいと思っています。 

貴重な体験をしながら日々育っていく子どもたちを支える先生方には、深く感謝と敬意を表します。日本語や日本の学校のカリキュラムだけでなく、日本の文化も大切にしてくださって、保護者のひとりとしてとてもありがたかったです。そういう教育の場があったからこそ、日本を離れても安心して子どもと過ごすことができました。 

ところで、宇宙開発への取り組みについては、国によって考え方の違いや、力を入れている分野が異なるなどの特色があります。あなたが住んでいる国はどうでしょう。今、どんなことをしているでしょうか。ぜひ現地の「宇宙」に関する情報を探してみてくださいね。