2024年1月9日
Davos Next

JOES Davos Next 2023

グループディスカッション、フィナーレ

 

JOES Davos Next 2023パート2のグループワークセッションが順調に進んで参りました。阪口秀博士による基調講演「海の今と未来を考えよう」の感想を共有した第1回、各自が調査したことを持ち寄って発表し、グループによる問題解決のアプローチを決定した第2回を経て、第3回・第4回では、課題を解決するためのアイデア(ルール)を具体化するために議論を深め、ディスカッションの成果をプレゼンテーションする動画を作成しました。   

約2カ月の間に合計4回、のべ8時間にわたってオンラインで顔を合わせて語り合ってきた子どもたち。回を重ねるたびにグループの雰囲気は柔らかくなり、ディスカッションは活発になっていきました。いくつかのグループの様子をご紹介します。

(取材・執筆:只木良枝)

 

成果動画の制作に向けて

 

第3回ディスカッションでは、まず他チームのワークシートを閲覧して、自分たちのアプローチとの共通点や違いを確認しました。そして、第2回で決めたアプローチに沿って参加者各自がリサーチして考えたアイデアを持ち寄り、グループの意見にまとめていきました。

 

阪口秀博士基調講演のスライドより、ブルーカーボンの例

 

海ゴミの削減に取り組むグループでは、ゴミを拾うイベントを開催することを前提に、参加者のモチベーションをあげるための仕組みを検討しました。連続して毎月開催する、ポイント制にするなどのアイデアに続いて、話題はイベントを継続的に実施するための資金調達、そして企業とのコラボレーションに発展していきました。まだまだ一般に知られていないブルーカーボンは知名度を上げるのが最重要課題とされ、そのための方策としてゆるキャラやアニメーションの制作という案が出ました。水産資源管理については、単にその必要性を告知するだけではなく、国の政策を整えることが必要だという大局的な視点からの発言がありました。養殖の重要性を子どもたちが深く知ることができる方法としては「教科書に掲載する」というアイデアも。もしそれが実現すれば、日本中だけでなく、世界中の日本人学校・補習授業校の子どもたちが学ぶことができる、そうすれば養殖と漁業の抱える課題を自分が住む国の状況とも引き合わせて考えることができるという、海外子女・帰国子女ならではの視点には驚かされました。

 

第4回では、第3回のディスカッションの成果を発表し、動画を収録しました。分担してスライドを作成し、プレゼンテーションの順番を決めて、制限時間におさまるようにリハーサル。欠席者の分のスライドを急遽作成したり、各自が作成して持ち寄ったスライドの体裁を整えたり、声をかけあいながら手分けして、オンライン上で作業をてきぱきと進めていました。

 

アフリカからの参加者  

英語でディスカッションをするグループのなかには、アフリカから参加したA君がいます。夏休み中の活動を探していたところ、学校からの紹介でJOES Davos Nextを知ったそうです。

 

A君が参加しているのは、アメリカ、マレーシア、日本から参加するG6からG9までの5人の子どもたちと、高校生のBさん、大学生のCさんの2人のファシリテーターによるグループです。メンバーみんなは、すぐに打ち解けました。このグループのディスカッションは、みんなが我先に発言して盛り上がるというよりも、指名されてしっかりと意見を述べるというスタイルで、Bさんの冷静なファシリテーションが光っていました。A君のインターネットが不調になるというアクシデントが発生することもありましたが、アフリカで生まれ育ったCさんは「私も何度も経験したよ。何か手伝えることある?」と優しくフォローしていました。

 

第1回ディスカッションで基調講演の感想を聞かれたA君は、「ナショナル・ジオグラフィックの番組でやっていたんだけど……」と、自分の見聞に照らし合わせてコメントしました。A君は、海に囲まれた日本とは対照的な海のない国に住んでいます。「海について、あまり考えたことはなかった。映画などに出てくる海は何の問題もないような美しい海なので、今までそういうイメージしかもっていなかった」と率直に語っていたA君ですが、ディスカッションが進むうちに、たとえ海から離れた地域に住んでいても、様々な要素が海に関連して問題になっていることを認識したようです。魚の獲りすぎを防ぐ漁具の開発や密漁を取り締まるための政策などについて発言し、「自分ができることは何か」を考えているようでした。

 

第4回では、いざ録画開始という局面でまたA君のインターネットにトラブルが発生。ファシリテーターが急遽事務局スタッフに連絡して対応策を協議し、時間もないので、ともかく撮影を開始することになりました。いったんA君の担当部分を飛ばすかたちで収録を終えて、「できたね」「みんなありがとう」と言い合っているところにA君が登場。メンバーの顔がパッと明るくなりました。「じゃあもう一度みんなでやろうよ」ということになり、最初から動画を撮り直しました。

 

撮影終了後は、ホッとした気持ちと名残惜しさもあったようで、予定の時間を過ぎてもなかなか回線を切ることができません。最後はみんなで、See you soon! Have a good day! と手を振りあって、全日程を終えました。  

 

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