配偶者として海外に来ましたが、まわりに心を開けず、孤独感でいっぱいです。
2026年8月16日
子どもの教育

配偶者として海外に来ました。孤独感でいっぱいです。

【相談】
 配偶者として海外に来ましたが、まわりに心を開けず、孤独感でいっぱいです。    

あなたは、一人ではありませんよ。海を見れば、どこまでも続いています。そして、青い空を見上げれば、空は海以上に広くどこまでもどこまでも続いています。  

寂しくなったら、空を見上げましょう。親しかった友人や渡航を励ましてくれた知人が、あの空の彼方からあなたを案じているのですから。  

空に向かって大きく深呼吸をしましょう。新しい何かが、あなたの心に舞い込んでくるはずです。体中に新しい空気が流れ込めば、心機一転、顔を上げて歩き出すことができるかもしれません。顔を上げ、胸を張って歩けば、自分一人ではなくなります。  

不思議なことに顔を上げるだけで、孤独感は薄れます。顔を上げるのが難しければ、草原に大の字になって寝ころびましょう。空が開け、雲が悠々と流れていきます。  草原がなければ、雪原でも砂浜でも屋上でも、あるいは公園のベンチでも、どこでも構いません。とにかくひっくり返るのです。ひっくり返れれば、びっくりするくらいに目の前の風景が変わります。

配偶者として海外に来ましたが、まわりに心を開けず、孤独感でいっぱいです。

そんなこと言ったって、そんなふうにひっくり返ったって、何も変わらないよ、という場合には、人の力を借りましょう。

配偶者として孤独感を感じているわけですから、友人や知人の誰か一人、この人になら話すことができるという人を決めて、思い切って心中を打ち明けてみましょう。必ず助けてくれます。悩みを聞いて、助けたくない人はいません。少しでも何とかしてあげたいと思うのが人情だと思います。

他の人には話したくないというのなら、動物はどうでしょう。仲良くなった動物は、人の話をよく聞いてくれます。黙って聞いて頷き、ペロッとなめて慰めてくれる動物もいます。私たち人間の気持ちが分かるのです。悩んでいるとそっとそばに寄り添ってくれる動物だっています。

ただ、そんなことは頭では分かっていても、なかなか行動できず、また行動したとしても孤独感がぬぐい切れない場合もあります。それは、あなたの心と体が一致していない状態です。  

ここからは、孤独感の要因を考えると共に、もう少し具体的な対応策をみていきましょう。

配偶者として海外に来ましたが、まわりに心を開けず、孤独感でいっぱいです。

 

1.環境  

置かれた環境が国内とは全く違いますので、孤独感を感じることは個人の問題ではありません。努力して改善できる部分もありますが、相対的に見て「ものの見方」や「生き方」を変えなければならない場面も出てきます。  

 

(1)言葉の壁  

日本語を母語として生活している私たちが、突然、外国語だけの世界に置かれることは、ただそれだけで大きなストレスを誰しもが感じます。  

もちろん、その国の言葉を話すことができれば、生活が100倍楽しくなるかもしれないことは分かるのですが、一朝一夕に身につくわけではありません。  

語学の学習は三日坊主で終わることも多くありますが、その時には「三日坊主も10回続ければ30日になる」と楽観的に考えましょう。のんびり焦らず、ゆったりと繰り返すことが大切です。もちろん、嫌になったら休んでいいのです。誰かに迷惑をかけるわけではありませんから。

 

 

(2)文化の違い  

「その地に住まわせてもらっている」と捉えれば、その地域の文化を適切な形で受け入れることができます。

家の中では日本式な生活をされているかもしれませんが、玄関を一歩出てからも日本式に行動しようとすると無理があります。「住まわせてもらっている」わけですから、できるだけその地域の文化に合わせましょう。

しかし、「無理!」な時には避けて通って構わないのです。無理やり合わせようとするとストレスが溜まってしまいます。その地域の方が不快に思わない程度に、あなたの行動様式を出していいと思います。自分が落ち着くための代替の行動や代替の品は、必ずあるはずですから、それを探すのも外地での醍醐味と捉えられれば何よりです。

 

 

(3)家族が持つストレス

帯同した家族ひとり一人がストレスを抱えている場合も考えられます。

職場に通う駐在員本人は、仕事上のストレスと共に言葉の壁や文化の違いをより一層感じているはずです。家庭を預かる配偶者も、外での買い物をはじめ勝手の違う家事の多さにストレスを感じているでしょう。例え、メイドさんがいたとしても、その対応に苦慮されることも少なくないはずです。  

学校や幼稚園に通う子どもたちは、言葉の壁と共に友人関係の変化に悩んでいるかもしれません。  

一緒に生活していても、家族ひとり一人が孤独感を覚えていることに気付けない場合もあります。些細なことでも話し合うよう心がけることをお勧めします。皆でそれぞれの思いを共有することで、慰められたり、励まされたりします。

状況が変わったときこそ、家族が結束するチャンスです。

配偶者として海外に来ましたが、まわりに心を開けず、孤独感でいっぱいです。

2. 対応策

まず、「自分が落ち着く」「自分の立ち位置を決める」」「自分の居場所を見つける」を第一に考え、自分にゆとりをもたせましょう。そうすることで自分と家族の孤独感に対応できる可能性が生まれます。  

以下、自分の立ち位置を決めたり、自分の居場所を見つけたりする方法を六つの視点から考えます。

 

 

(1)家族との会話  

前述のように家族それぞれが大きなストレスを抱えている場合がありますから、その時は一度、よくよく話し合ってみるといいでしょう。  

腹を割って話し出すと、思いの外、孤独感を感じているのは自分一人ではないことも分かります。「みんなそう感じていたんだね」となれば、そこがスタートです。家庭内で互いに尊重しあえる雰囲気をもう一度、作ってみましょう。  

そのためには、できるだけ互いに声掛けすることです。些細なことでも尋ねてみる、すてきな洋服について話題にする、今、自分はこんなことに悩んでいる云々。どんなことでもいいのです。家庭内は、本音で話せる空間にすることが大事です。

例えば、毎週金曜日の夜などに「家族会議」と称して定期的に話し合いを設定してみてはいかがでしょうか。  

ある程度、学年の進んだお子さんがいる場合には、世界情勢や生き方など、抽象的な話題を振ってみてもいいでしょう。日本語の語彙を増やすためにも効果的で、互いの孤独感の解消につながる可能性もあります。  

自分の悩みを話すなかで、親としての根本的な考え方を伝えることもできますし、相談された子どもは「頼りにされていたんだ」と気付き大きく成長します。   

 赴任先では、日本にいるとき以上に家族単位で行動する時間が長くなります。時間がある分、ひとり一人が自分の思いを話すことで、それぞれの足元がしっかりと固まると共に、孤独感も軽減される可能性があります。  

 

 

(2)日本人コミュニティーの活用

近所に日本人が住んでいれば、茶のみ友達になれるかもしれません。また、日本人会があるような地域ではスポーツや文化的な活動などさまざまなサークル活動が行われていますので、臆することなく参加してみるのも一考の価値があるでしょう。  

一度きりでも構わないので遠慮することなく参加してみて、雰囲気が自分に合うようであればその後も続けてみましょう。  

日本人コミュニティーから得られる情報はたくさんありますし、それ以上に、すてきな方々と出会うことができる好機と捉えてはいかがでしょう。   

 

 

(3)オンラインの活用  

赴任した地域によっては「日本人が数人しかいない」場合があるかもしれません。オンラインを使い、日本国内外の方々との交流を深めてみましょう。  

直接の対面ではなく、時差なども考慮する必要はありますが、相手の顔を見ながら話すことができるわけですから、互いの意図は十分に通じ合えると思います。  

また、メールの活用は思いのほか、効果的です。「手紙を書く」わけですから、自ずと現在の状況を書くことになり、その状況を客観視することができます。それは、自分自身について考えることになり、これからの自分が進むべき道を開くことにつながります。

 

 

(4)旅行 

一泊二日の短期でも構いません。今、置かれている環境を変えてみると、気持ちが前向きになることがあります。もちろん家族帯同でもいいでしょうし、一人でもいいと思います。  

日常の生活を非日常に変えることで、気持ちが変化して見方が違ってくることもあります。「一人で出かけるのは帯同者に申し訳ない」と考えるのではなく、「帯同者のために前向きになるため」と考えられれば何よりです。  

子どもを帯同して赴任している場合に一人旅をする際は、事前に配偶者と旅行中の子育てについてよく話し合っておくことが大切です。

 

  

(5)一時帰国  

一時帰国することも考えましょう。帰国して、帯同していない自分の親族や友達と会うことで、心が温かくなります。親身になって話を聞いてもらえるだけで気が楽になります。  

気持ちが落ち着けば、自分の立ち位置がはっきり見えてきて、その後はこれから進む道も相談しやすくなるでしょう。  

 

 

(6)カウンセリング  

どうしても孤独感がぬぐいきれない場合には、専門機関に相談しましょう。カウンセラーに相談することもその一つです。カウンセリングを受けることで、気持ちはかなり軽くなります。   

それは、カウンセラーが負の要素を引き受けてくれるイメージだからです。カウンセラーの方に話を伺うと「決められた時間を延長することはしない」と聞きます。延長すると、クライアントの気持ちが自分に移り込んで、カウンセリングにならなくなるからだそうです。  

カウンセラーの方は、そのくらい本気で話を聞いてくれますから、安心して相談してみてください。  カウンセリングは、オンラインでも行われていますので、世界中どこにいても大丈夫です。先ずは話を聞いてもらいましょう。聞いてもらうだけで気持ちはかなり落ち着くはずです。今後の具体策は、それから考えても間に合います。     

配偶者として海外に来ましたが、まわりに心を開けず、孤独感でいっぱいです。

3.おわりに  

海外生活は、自分一人だけで完結させるのはとても難しいことです。たとえ単身で赴任したとしても、日本にいる家族の協力が必要です。決して一人で悩まずに周囲の方の力を借りましょう。  

異国の地だからこそ、赴任者はみんな戸惑ったり、間違ったりしています。戸惑いや間違いに遭遇した時には、解決策を模索したり、協力しあったりすることを、むしろ楽しみの一つに考えられたら何よりです。  

どこまでも続く、高く広い空を見上げ、ゆったりと構えて気持ちを落ち着かせてください。   

 

【回答者】
明石清二(あかしせいじ)
海外子女教育振興財団 教育アドバイザー   
明石清二(あかしせいじ)   
異文化体験は、「禁断の木の実」かもしれません。そこで得られる貴重な体験は、これからの生き方に大きく寄与すると確信しています。ご赴任なさる保護者の皆様とお子さんが、より一層活躍できますよう心から応援しています。  
 
プロフィール 
  • 元宮城県公立学校校長
  • 元仙台市教育委員会指導主事 
  • 元パリ日本人学校教諭、ワルシャワ日本人学校校長、ハノイ日本人学校校長
  • 元宮城県国際理解教育研究会会長
  • 元宮城教育大学教育支援コーディネーター
  • 2023年より現職

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