中高一貫の強みを生かしたグローバルな視野を広げる学び
6年間で自分らしさと未来への力を育む
三重県鈴鹿市にある鈴鹿中等教育学校は、県内唯一の中等教育学校だ。従来の併設型であった中学校と高等学校をリニューアルし、2017年に完全6年制の中等教育学校として誕生した。建学の精神「誠実で信頼される人に」のもと、「6年間」を最大限に活用し、グローバル時代を生き抜くための「主体性のある自由な人」の育成をめざしている。同校の具体的な取り組みについて鈴鹿享栄学園理事長で校長を務める渡辺久孝先生と、入試対策部長・安里昌裕先生に話を聞いた。
「本校は、中高一貫の特性を活かし、学年を超えて互いに刺激し合う、風通しのいい環境です。すてきな仲間と熱心でやさしい先生とともに、“将来なりたい自分”を目標に掲げ、確かな学力と豊かな人間性を磨いていきます」(安里先生)
生徒たちは、国公立大学や難関私立大学への志望者が中心だが、近年は「何を学びたいか」を重視し、多様な進路を選択している。医歯薬系、理工系、文系学部はもちろん、海外大学への進学や芸術分野へ進む生徒もいる。6年間にわたり「自分は何者か」を問い続けた結果、主体的に進路を選択する卒業生が多いことが学校の誇りだという。また、年間を通してキャリア教育プログラム「鈴6未来ナビ」を多数実施し、生徒一人ひとりが進路についてじっくり考える機会を設けている。

学習面では、1年次から「特進コース」と「医進・選抜コース」の2コース制を採用。特進コースは国公立大学や有名私立大学への進学をめざし、医進・選抜コースは医・歯・薬学部および難関国公立大学への現役合格を目標としている。
両コースは同じ教科書・試験範囲を用いるが、医進・選抜コースではそれに加えてより発展的な内容を扱う。5年進級のタイミングまで毎年コース変更の機会があり、努力次第で特進コースから医進・選抜コースへの移行も可能だ。
生徒たちの努力は進学実績にも現れており、2025年度の実績でも東京大学、京都大学、国公立医学部などに進学した卒業生がいる。もちろん、慶應義塾大学、早稲田大学など有名私立大学への進学実績も多数ある。

ICTを活用した探究型授業を実施
鈴鹿中等教育学校では、ICTの積極的な活用、学問や世の中の事象を深く掘り下げる探究活動に力を入れている。さらに、文化祭「鈴青祭」をはじめとするさまざまな学校行事、人間力を育てるボランティア活動などもあり、生徒たちは充実したスクールライフを送ることができる。
「本校の授業は単なる知識の蓄積ではなく、なぜ? どうして? を掘り下げる探究型を重視しています。最初は正解を求めることに必死だった生徒たちが、次第に『自分の考えを論理的に組み立て、他者に伝える力』を身につけていきます。特に、ICTを活用したプレゼンテーションやグループワークを重ねることで、『他者の意見を尊重しつつ、建設的に批判・統合する力』が養われ、知的なたくましさを持って成長していきます」(安里先生)
探究活動は6年間を通して段階的に実施され、最終的には、自分で決めた研究テーマに基づき、5年生の最後に1年半にわたる研究の成果を発表する。
また、EMC(情報メディア教育センター)をはじめとする充実した教育環境も魅力だ。EMCは、生徒だけでなく、地域の方々も利用できる、いわば進化した図書館のような存在であり、司書や専門知識を持つ職員が常駐している。中学・高等学校レベルでは全国的にも珍しい優れた施設が整っている。

ネイティブ教員による授業と海外研修で実践的な英語力を伸ばす
「本校は、全員に英語が得意になってほしいわけではありません。大学生になったときに、自分の専門分野を英語でも表現でき、恐れずに堂々と発信できるようになることを願い、英語教育に力を入れています」
そう語るのは、元英語教員でもある渡辺久孝校長。同校の英語教育の大きな特長は、公立中学校の約1.5倍にあたる授業時間数と充実した海外研修の2つだという。
前期課程では、週7時間の英語の授業のうち2時間をネイティブ教員が担当し、実践的な英語力を育成する。5年生では「英語表現」の授業において、ディベートの実施を目標に掲げ、自らの意見を英語で伝える力を養う。
海外研修は、3年次に全員でシンガポール・マレーシアを訪れ、4年次には希望制でセブ島、オーストラリア、カナダのいずれかに留学することができる。
「シンガポール・マレーシア研修は2泊4日で、現地の姉妹校の生徒との交流をはじめ、ホームビジット、日本企業の海外支社への訪問、現地大学生のガイドがついた自由行動などを体験します。4年次では、セブ島、オーストラリア、カナダなどの3カ国の中から渡航先を選び、ホームステイ、もしくは各国からの生徒が集まる寮に滞在しながら、本校と交流のある現地校に通います。いずれも2週間にわたる研修で、毎年4~5割の生徒が参加しています」(渡辺校長)
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カナダについては、他にも5カ月コースがあり、約半年間の留学プログラムを行い集中的に英語を学習。英語での授業、寮生活を通して現地の教員や学生と交流し、語学力の向上だけでなく、グローバルな能力の育成を目指す。
(※提携校奨学生枠があり、5カ月の留学授業料が無償となる制度あり)
また上記5カ月のカナダ留学の後、帰国後オンラインのプログラムを終了することで、鈴鹿中等教育学校での卒業資格とカナダの高校卒業資格を合わせて取得できるデュアル・ディプロマ・プログラムも利用できる。 留学エージェントや旅行会社を通さない、鈴鹿中等教育学校と現地提携校との直接のプログラムなので「提携校奨学生枠」などもあり、一般的な取得費用よりかなりコストを抑えることができる。

互いの世界観を広げ合う存在になってほしい
帰国制入試は、国語・算数・理科・社会の4教科のうち、高得点の2教科で判定する。また、教科試験だけでなく、受験者と保護者の面接を実施し、これまでの海外での生活や学習状況などをじっくりと聞く。
入学後は、基本的にほかの生徒たちと同じように授業を受けることとなる。文化の違いなどでわからないことがあれば、担任や教科担当が連携してサポートする。
「帰国生や小学校から英語に力を入れてきた生徒たちは、入学時に一時的に足踏みしてしまうことがあります。せっかく身につけたスキルを十分に発揮できない状況を避けるため、ここではさらに英語力をブラッシュアップできる環境を提供します」(渡辺校長)
同校ならではの組織「SGSS(Suzuka Global Students Society)」にも注目だ。これは、学年を問わず、英検などで一定の基準を満たした高い英語力を持つ生徒が参加できる。英字新聞の制作やさまざまな英語イベント、校外での英語スピーチコンテスト、英作文コンテスト、模擬国連(JEMUN)への参加など、英語を使ったハイレベルな取り組みを実施している。

「海外経験は何物にも代えがたい宝物です。本校は、その宝物を“特別なもの”として隔離するのではなく、“日常の学びを豊かにするエッセンス”として大切に育てていきます。帰国生のみなさんには、日本の枠に捉われない自由な感性で学校に新しい風を吹き込み、海外で培った多角的な視点によって、周囲の生徒と互いの世界観を広げ合う存在になってくれることを期待しています。自分らしさを失わず、日本の地でさらに大きく根を張れるよう、私たちは全力で伴走します」(渡辺校長)








