日能研賞

弟のおにぎり

デュッセルドルフ補習授業校(ドイツ)
小3 早川 恵美理


 弟が大すきなおにぎり。そのおにぎりを
「もうおべんとうに入れないで。」
とおとうさんに言いました。おとうさんが、弟に、
「どうしたの?」
と聞くと、弟は、ドイツの小学校の同じクラスの男の子に、
「べーおいしくなさそう、きもちわるい。」
と言われたことを話しました。わたしは、むねがいたくなりました。なぜかと言うと、大切な弟が、いやなことを言われてかわいそうだとかんじたからです。そして日本のだいじな食べ物のおにぎりがわるく言われたともかんじました。


 ドイツの小学校では、サンドイッチやパン、ドーナッツ、フルーツ、野さいなどを持ってきている子たちが多いです。おにぎりなどの日本食は、ほとんどの子は知りません。そこで、家ぞくで話し合いました。おとうさんが弟に
「言われてどんな気持ちになったの?」
と聞いたら弟は、
「いやな気持ちになったよ。」
と答えました。そしておとうさんは、
「なぜその子がそんなことを言ったのかな?どうしたらいいと思う?」
とわたしと弟に聞きました。わたしは、
「その男の子は、まだおにぎりのことを知らないし、食べたこともないと思うな。」
と言いました。するとおかあさんが
「じゃあ、クラスの子どもたちにおにぎりを食べてもらうのは、どうかなあ?」
と家ぞくみんなに聞きました。
「すごくいいアイデア!」
とわたしと弟が言いました。家ぞくみんながわくわくしました。


 つぎの朝、早おきしておにぎりをにぎりました。お米をたいたり、かわいいミッキーの形に切ったのりをつけて、食べやすいように一口サイズにしました。あじは、しお味にしました。作っている時は、ワクワクしたりドキドキもしました。なぜかというと「本とうにみんな食べてくれるかな?またいやなことを言われないかなあ。」と心ぱいにもなったからです。みんなで力を合わせて二十このおにぎりをかんせいさせました。


 小学校では、おにぎりを食べたくて行れつができました。みんなおいしく食べてくれました。その時わたしのむねがジーンとあたたかくなって、うれしさといっしょにあん心する気持ちで心がいっぱいになりました。弟もすごくすごくすごくよろこびました。そして、またおにぎりを持っていくようになりました。わたしは、弟のよろこぶすがたを見て、なみだが出そうになるほどうれしかったです。


 わたしは、これから先、わたしが食べたことのない食べ物に出会った時、まずはその食べ物について、人に聞いたりしらべたりしたいです。そしてその食べ物や文かを大切にしたいです。