こくみん共済COOP賞

人生で一番ないた日

ウェールズ補習授業校(イギリス)
小3 田中 海成


 その日ぼくは大なきした。人生で一番ないた。その日は日本からイギリスにひっこしウェールズの小学校に行き始めて三日目だった。それが始まったのは、休み時間。うんどう場でキョロキョロしていた。ぼくは、もうれつにさみしくなって、きゅうに心がどっくんどっくんして、いきがくるしくなった。なみだがきゅうに出てきた。とてもくるしくて、しんどくて、どうしたらよいかわからなくなった。でもないてはダメだと思った。ないたらダメだと心の中で何ども言った。


 だれもたよる人がいない、知っている友だちもいない、みんな何を言っているのかさっぱりわからない。だれも話しかけてくれない。


 ぼくはただ、自分から遊ぼうと言いたかったし、友だちとなかよくなりたかった。でも何も話しかけることができなかった。くやしかった。


 そのしんどい気持ちを自分の中にキープするしかなかった。でも、その気持ちがばく発してしまった。かなしい気持ちがあふれて止められなくなった。だれかが先生にぼくがないていることを教えてくれた。その後のことはあまりおぼえていない。


 気がついたら、ぼくは、パパときゅうきゅう車にのっていた。


 ぼくは、今回イギリスに来て一番心にのこっていることを作文に書こうと思った。あの心がどくどくなったこわさのことを書くしかないと思った。


 このかんじょうを、今知っただれかを、ぼくはたすけられるかもしれない。こまっている人やかなしくてないている人がいたら、その人の気持ちをぼくはわかるかもしれない。話しかけたい。
「心ぱいないよ、大じょうぶだよ。」
といつも言ってあげたい。だから、今から大人になるまで、このことをぼくはずっとわすれたくない。


 ぼくは、今は英語はじょうずになったと思う。でもそのかわりに、ぼくは日本人なのに日本語が少しへたになったと思う。なぜなら、一日に六時間も英語の世界で生きてるし、漢字のべん強はとても大へんだし、日本のお友だちに、日本語が少しへんだよと言われたから。


 だから、あの時英語が全ぜんわからなくてかんじたこわさを、もう日本でかんじたくはない。だから、日本のお友だちとはり合えるレベルになれるように国語のべん強をもっとがんばりたい。