【受け入れ校在校生座談会】東京都市大学等々力中学校で聞いた「帰国生は一般の生徒にどのような刺激を与えている?」
2024年9月30日
特集

【受け入れ校在校生座談会】東京都市大学等々力中学校で聞いた「帰国生は一般の生徒にどのような刺激を与えている?」

東京都世田谷区にある東京都市大学等々力中学校・高等学校は、帰国生の受け入れを積極的に行っている学校として知られています。現在、1学年約200名のうち20名前後が帰国生という一般の私立校としては、かなりグローバルな環境。ここで、日本で育ってきた在校生たちは、どのように帰国生を受け入れているのでしょう? 中学校2年生、3年生の男女4名に話を聞くと意外な実状が見えてきました。

(取材・執筆:ミニマル丸茂健一)

 

 【座談会参加者】 

左から川端心結さん(中学校2年生)、倉矢一翔さん(中学校3年)、渡辺悠月さん(中学2校年生)、寺本莉佳さん(中学校3年生)  

 

帰国生は明るくて、積極的な印象  

——帰国生が新入生として仲間入りしてきたとき、感じたことを教えてください。  

 

寺本:特別なことは感じませんでしたね。日本の小学校に通ってから、海外に行った人も多いので、ここではそれほど大きな違いは感じてないかもしれません。    

【受け入れ校在校生座談会】東京都市大学等々力中学校で聞いた「帰国生は一般の生徒にどのような刺激を与えている?」

倉矢:僕も同様です。特別に構えたりすることはありませんが、やはり英語圏から帰ってきた人は、「英語ができてすごい!」と思いますね。  

 

川端:帰国生が滞在していた国について、話してくれるのが面白いですね。私の友達は、アジア圏のタイと中国で生活したことがあって、現地と日本の違いを教えてくれました。  

 

渡辺:帰国生はすごくフレンドリーな印象があります。同学年にはもちろん、先輩にもカジュアルに話しかけて、それが自然に受け入れられています。彼ら自身の明るいキャラクターによるところもあるかもしれませんが、部活の先輩とタメ口で話しても怒られたりはしてないですね。    

【受け入れ校在校生座談会】東京都市大学等々力中学校で聞いた「帰国生は一般の生徒にどのような刺激を与えている?」

——帰国生からいい影響や刺激を受けたと思うことはありますか?  

 

渡辺:やはり英語は「うまいな~」と思います。欧米圏からの帰国生たちが英語で会話をしているのを見るとうらやましいって素直に思いますし、「自分も頑張らないと!」と思います。  

 

倉矢:中学1年で英検準1級を取っている人もいたりして、英語を教えてもらうことも多いですね。    

【受け入れ校在校生座談会】東京都市大学等々力中学校で聞いた「帰国生は一般の生徒にどのような刺激を与えている?」

寺本:面白いなと思ったのは、感覚的に英語を話せるけど、文法のことを逆に聞かれたりすること。「名詞」とか「動詞」という日本語がわからなかったりして。  

 

川端:アジア圏で日本人学校に通っていた人は、英語力も含めて、私たちと大きくは変わらないかな。欧米圏とアジア圏の違いかもしれませんが。  

 

寺本:私もタイから帰ってきた友達がいるけど、語学の面では変わらないかも。ただ、帰国生はとにかく明るい子が多い! あと、いい意味で周りに流されすぎない子が多いですね。友達とどこか遊びに行こうってなったとき、他のみんなは同じ場所を言ってもその子だけは違うところに行きたいって、しっかり自分の意見が言える。そして、それが悪い雰囲気にならない独特の明るさがあるんですよね。そこは見習いたいと思っています。  

 

倉矢:明るい人が多いのは同感です。野球部の仲間にも帰国生がいて、すごくポジティブにチームを引っ張っている印象があります。僕はその友達からメジャーリーグの話を聞いて、興味を持つようになって、ドジャースの試合を観たりするようになりました。野球の研究というより、趣味みたいなものですが、むしろ英語の勉強になりますね。大谷選手の活躍を観て、「メジャーでも超一流って、すごいな~」と改めて思います。  

 

帰国生を見ならって、積極的に話しかけるようになった  

——帰国生の友達ができて、自分が変わったなって思うことはありますか?  

 

川端:帰国生の友達がすごくフレンドリーで、誰にでもすぐに話しかけちゃう子で、それを見て刺激を受けて、私も周りの人に話しかけるようになりました。もともと自分から積極的に話しかけるようなタイプではなかったので、そこは変わったと思いますね。帰国生の文化というか雰囲気の影響だと思います。    

【受け入れ校在校生座談会】東京都市大学等々力中学校で聞いた「帰国生は一般の生徒にどのような刺激を与えている?」

寺本:私は帰国生の友達が滞在していた国の話を聞いて、もっと知りたいと思うようになりました。例えば、タイの「ロイクラトン」というランタン祭りの写真を見せてもらって、インターネットで詳しく調べました。あとは、アメリカからの帰国生の友達の影響で、「英語をもっと頑張ろう!」と思うようになりましたね。同世代でもここまでできるんだと思うと、モチベーションが上がります。  

 

帰国生の発言によって、教室の雰囲気が変わる    

【受け入れ校在校生座談会】東京都市大学等々力中学校で聞いた「帰国生は一般の生徒にどのような刺激を与えている?」

帰国生の受け入れ校である東京都市大学等々力中学校・高等学校では、先進的な国際英語教育を導入しています。  

 

まず、中学1年~高校1年の帰国生や英語力の高い生徒を対象にした「αクラス」を用意。取り出し授業を行いネイティブ講師による英語の授業を盛り込んだカリキュラムを提供しています。

 

また、中学3年・高校1年生向けに、「特選GLクラス」を設置。クラス全体で国際教育プロジェクトなどに取り組みながら、英語力と国際感覚を養っていきます。 

 

そして、高校2・3年生になると世界のトップスクールを目指す生徒を対象にした英語の授業を行うクラスを設置。英検準1級取得レベルの英語力習得を目指します。  

 

今回、座談会に参加してくれた中学3年生の倉矢さんは、「特選GLクラス」を選択しており、クラスのエピソードを語ってくれました。帰国生がメインの「αクラス」の授業では、各学年15~20名程度の生徒がネイティブレベルの英語力で、ディスカッションなどを行っているといいます。  

 

 

——クラスや部活動における帰国生の友達とのエピソードがあれば、教えてください。  

 

寺本:授業で何かを決めるとき、必ず積極的に発言してくれるので助かります。帰国生の発言に刺激されて、まわりも発言が増えることがよくありますね。    

【受け入れ校在校生座談会】東京都市大学等々力中学校で聞いた「帰国生は一般の生徒にどのような刺激を与えている?」

川端:うちのクラスでも文化祭の出し物を決めるときに、帰国生の友達が積極的に意見を出して、まとめていました。  

 

渡辺:それは部活動でも同じかもしれません。僕が所属するバレーボール部では、帰国生の仲間がいつも積極的に意見を言って、盛り上げています。あと、試合でミスをしても「次は決める!」と常にポジティブなところは見習いたいです(笑)。  

 

倉矢:野球部のキャプテンが帰国生なのですが、仲間をまとめる力、リーダーシップがあるのを感じますね。やはり海外でいろいろな国籍の仲間をつくってきた経験からくるものかもしれません。ちなみにその子は、クラスの委員長もやっています。彼を見ていて、明るさと積極性って、やはり大切だと思いますね。  

 

 

——ちなみに、中学校の部活動では先輩に敬語を使っています?  

 

寺本:私は弓道部なのですが、タメ口OKです。  

 

倉矢:野球部も意外とタメ口で大丈夫ですね。  

 

渡辺:バレーボール部は、先輩にタメ口で大丈夫なのですが、準備や片付けはしっかり後輩がやろう!という雰囲気はあります。    

【受け入れ校在校生座談会】東京都市大学等々力中学校で聞いた「帰国生は一般の生徒にどのような刺激を与えている?」

川端:チアリーディング部は、先輩には基本的に敬語ですね。これは、帰国生の子も同じです。  

 

もともと多様な入試で集まった仲間がいる場所  

——クラブによって違いがあるんですね。では、帰国生が学年の1割にあたる東京都市大学等々力中学校・高等学校ならではの雰囲気とはどのようなものだと思いますか?  

 

寺本:帰国生入試だけじゃなくて、4教科の一般入試のほか、英語1教科入試、グループワークを含むアクティブラーニング入試など、いろいろな方法で入学していきている仲間が一緒に学んでいるので、生徒の多様性を感じます。なので、帰国生だと聞いても特別扱いするような雰囲気はないんですよね。  

 

川端:いい意味で、帰国生を特別扱いするような場面はないと思います。

  【受け入れ校在校生座談会】東京都市大学等々力中学校で聞いた「帰国生は一般の生徒にどのような刺激を与えている?」

倉矢:これは帰国生が多いせいだけじゃないと思いますが、みんなが個人を尊重し合えるような雰囲気を感じます。あと、みんな明るく挨拶するのもいいですよね。  

 

 

——では、東京都市大学附属等々力中学校に入学して、よかったと思うところは?  

 

寺本:校舎がきれいなところですかね。あと、中学校はお弁当風の給食が出ます。高校になると食堂も利用できます!  

 

倉矢:先生の指導が手厚いことですね。授業では小テストが毎回合って大変ですが、ついていけなくならないようにしっかりフォローしてくれるので、自分には合っています。  

 

渡辺:確かに課題は多いです(笑)。でも、できないときは、すぐに声をかけてくれて、補講などもしてくれます。先生に質問しやすい雰囲気も助かりますね。  

 

 

——皆さんも将来、海外に行ってみたいと思いますか?  

 

寺本:今の友達と離ればなれになるのはイヤだけど、長期留学に憧れはあります。高校に入るとカナダやオーストラリアへの交換留学制度があるので、挑戦してみたいですね。  

 

倉矢:僕は今、「特選GLクラス」という英語に特化したクラスを選んでいて、ネイティブの先生による授業があるほか、毎週授業オンラインの英会話などもやっています。先日、家族でインドネシアに旅行に行ったとき、空港の英語アナウンスを聞き取ることができて、英語の上達を実感しています。いつか海外でも学んでみたいですね。   

  【受け入れ校在校生座談会】東京都市大学等々力中学校で聞いた「帰国生は一般の生徒にどのような刺激を与えている?」

渡辺:僕も授業で英語を使ったペアワークなどがあり、最近はネイティブの先生の英語もだいたい聞き取れるようになってきました。帰国生に負けないように頑張りたいですね。  

 

川端:私は英語力も伸ばしながら、今はチアリーディング部の活動を全力で頑張りたいです!  

 

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  【受け入れ校在校生座談会】東京都市大学等々力中学校で聞いた「帰国生は一般の生徒にどのような刺激を与えている?」

 

帰国生は、日本で学んできた生徒たちから受け入れられるのか——。多くの保護者の方が抱える不安をよそに、帰国生たちが既存コミュニティに自然に溶け込んでいる現場があることがよくわかりました。  

 

帰国生たちは、英語力の高い生徒向けのクラスに所属しながら、普段の生活や部活動でさまざまな仲間と出会い、互いに刺激を与え合っているようです。取材に協力いただいた東京都市大学等々力中学校・高等学校では、海外大学への進学実績も増えているとのこと。現在1割程度の帰国生入試枠をさらに拡大していく計画もあるといいます。帰国生を積極的に受け入れながら、どのような校風が醸成されていくのか、今後も同校の国際的な教育から目が離せません。    

 

取材協力:東京都市大学等々力中学校・高等学校 

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