Jeddah Japanese International School 所在地:サウジアラビア王国 URL:https://jjs-japan.com 児童生徒数:小=3人
変化がはじまった社会とそのままの文化
サウジアラビア王国は、石油依存経済からの脱却を目指し、大きく国が変化し始めています。若者の間では、ジャパンアニメが人気となり、アニメから日本語を学び始めた人も多くいます。これは娯楽や観光に政府が力を入れた成果です。また、2019年よりサウジアラビア王国へ観光ビザで入国できるようになりました。さらに、女性の自動車運転が許可され、女性の権利の拡大も始まっています。しかし、それでもイスラム教国の中で戒律の厳しさは一番と言われ、1日に5回の礼拝、女性は外出する際には肌や髪を隠す衣装を着用するなど、戒律が生活に根付いています。日本人がジッダで生活する際には、日中35℃を越える日が続くこと、豚肉を扱うレストランや食料品店は国内にはないこと、また飲酒も禁止であることを除けば、美しい紅海が心を癒してくれるはずです。
3人だからこそできる授業や行事
高度経済成長時代の後半、サウジアラビア王国に石油関連の日本企業が進出し、大勢の在留邦人の生活が始まりました。そこから日本人学校設立の思いが強くなり、日本人会が学校設置者となり1975年ジッダに日本人学校が開校しました。開校から10年間は児童生徒が増加しピーク時には80名を越える児童生徒が在籍していました。しかしその後、児童生徒は減少し続け、現在は児童3名派遣教員3名の極めて小規模な学校として存続しています。この人数が本校の特徴です。
ジッダ日本人学校の一つ目の特色は、小さな学校のため、水泳大会、運動会や遠足などの学校行事は、日本人会の会員、保護者とともに行うことです。これらの行事では、児童が普段は感じることのできない集団を意識させることを目的にして、児童が当日の行事の運営にも携わり、開閉会式の司会、準備体操などを担当します。一つの行事を日本人会の方々とみんなで協力して作っていくことを見たり、体験したりして、協力する気持ちや担当したものをやり遂げる責任感が身についてきています。また、さらにこれらの取組により、児童には大勢の前で話す発表力が身につき、自らの意見をはっきり発表できる力もついてきました。2024年度は、この取り組みを組織的に拡大し、児童3人の児童会を立ち上げています。具体的には、昼食後の歯磨きを声掛けする保健委員や体育の授業準備を行う体育委員の活動にも低学年の児童が参加し児童会会長を中心に「みんなで楽しい学校にしよう。」を目標に取り組んでいます。
二つ目の特色は、あまり知られていないサウジアラビア王国の自然と文化を学ぶ学校行事「海の遠足」や「スクールトリップ」を行っていることです。海の遠足は、車で学校から20分程度で行ける紅海の自然を満喫する学校行事として児童にも保護者にも人気です。世界中からダイバーが訪れるきれいな紅海があるので、事前にプールでシュノーケリングなどの練習を行った後、紅海でシュノーケリングをして海中のすばらしさを体験します。
スクールトリップは現地の文化を理解する行事です。2023年度はイスラム教の聖地「マディーナ」に行って、世界中から人が集まる「預言者のモスク」などを見学し、イスラム教徒の方から説明を聞いてイスラム教について学んで来ました。マディーナの街中は、ほとんどがイスラム教徒で、男性は主に白色のトーブやエヘランを体に巻き、女性は外出時に切る黒色のアバヤを着ています。その中で、説明を聞きながら見学できたことは貴重な体験で、もしかすると児童より参加した保護者の方が熱心に説明を聞いていたかもしれません。
まだまだ特徴ある教育活動がたくさんありますが、紙面の関係で二つの特色を紹介しました。今は、児童3人でも、それぞれ3人が輝く学校それがジッダ日本人学校です。
(2024年6月現在)
こどもたちから