カナダと日本の高校卒業資格を取得できる
「ダブルディプロマ科」を2024年から新設
目指す生徒像は「心ある文武両道」
海星中学校・高等学校は、三重県四日市市にあるカトリック系のミッションスクール。エスコラピオス修道会によって設置された教育機関で、「キリスト教的世界観にのっとり、人類普遍の価値を尊重する人格形成、合わせて高尚かつ有能な社会の成員を育成する」という建学の精神のもと、キリスト教的世界観にのっとった人間教育を展開している。
教育システムとしては、生徒が志望する進路に合わせて以下の5コースを用意している。
■6年制「特別教育コース」(中高一貫)
■3年制「国際数理コース」(高校)
■3年制「進学特別コース」(高校)
■3年制「進学コース」(高校)
■3年制「ダブルディプロマ科」(高校)
同校は、1955年の設立後、中高一貫の男子校として運営してきたが、2021年より共学化し、現在は女子生徒も受け入れている。
「本校の教育理念をわかりやすく言うと『心ある文武両道』です。国際性豊かな授業のほか、探究活動にも力を入れる一方、スポーツ系のクラブ活動もたいへん盛んです。女子生徒を受け入れてからは、ダンス部や吹奏学部の活動にも注目が集まっています。ミッション系スクールとして、制服を一新し、しつけ教育も厳しく行います。一方で、欧米式の授業スタイルを導入したダブルディプロマ科を開設するなど、多様な学びの環境を用意しています」
そう語るのは、副学園長の畠山幸春先生だ。前述の5コースのうち、海外に駐在するファミリーにとって注目なのは、3年制「ダブルディプロマ科」と3年制「国際数理コース」だろう。この2コースについて、詳しく紹介していこう。
3年制「ダブルディプロマ科」
2024年4月にスタートしたばかりの新コース。海星高等学校とカナダ・ブリティッシュコロンビア州の教育制度を取り入れたオフショアスクール“Kaisei Canadian Double Diploma School(KCDDS)”の2校に同時在籍するスタイルで学ぶ。三重県四日市市にいながら海星高等学校の教員とBC州認定教員による授業を受けて、単位認定することにより、カナダと日本の卒業資格を同時に得ることができる。海外の大学進学を将来の選択肢に入れている場合は、有利になるだろう。
「日本の教育を基盤にしながら、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のカリキュラムで知識、技能、学習する姿勢を身につけられるのが特長です。世界的に教育水準が高いカナダの授業を英語で受け、個性や才能を伸ばすだけでなく、グローバルな視野も広げることができます」
ダブルディプロマ科では、授業の3分の2を英語オンリーで行うが、残りの「保健」「体育」「家庭」「情報Ⅰ」など日本の必修科目は日本語で受ける。バイリンガルスタイルの教育で、一つの価値観だけに偏らない異文化理解と論理的思考力を育成していく。
ダブルディプロマ科の生徒は、入学して約3カ月後7月から8月に約5週間、全員参加でカナダ・ブリティッシュコロンビア州での短期留学に参加する。現地ではホームステイをしながら、カナダの歴史・文化を学ぶ。この留学によって、「Social Studies 10(社会学)」の5単位を取得することができるという。
>詳しくはこちら
ダブルディプロマ科:https://www.kaisei.ed.jp/education/three-year/dd-course
3年制「国際数理コース」
英語力や海外経験を生かして、日本の大学進学を目指す人におすすめなのが、「国際数理コース」だ。グローバル教育の科目群と探究プログラムがバランスよく配置されたカリキュラムが特長で、高校2年次の夏休みにシンガポールでのアジア海外現地研修にも参加する。
国際数理コースでは、探究プログラムを中心とした教科横断型のカリキュラムで、授業を展開していく。「探究力」「行動力」「分析力」「表現力」といった能力を育成し、多様化・多元化する国際社会で活躍できるグローバル人材を育成するのが目標だ。
国際数理コースの特色といえるのが、「探究プログラム」だ。まず、高校1年次に「Speech Skills Program」で自己表現の仕方を学ぶ。その後、共通科目の「Project Studies Program」で、探究活動の基礎から数理科学的なアプローチを学んでいく。高校2年次になると、文系と理系に分かれ、文系では「Global Studies」、理系では「Science Studies」に取り組む。
「文系のGlobal Studiesでは持続可能な社会を目指すためにグループでテーマを設定し、自分たちで調査を行い、課題解決策を考えます。一方、理系のScience Studiesでは、身近な疑問から持続可能な社会を実現するために自分たちができる手法の範囲の中で工夫して実験や研究を進めます。探究活動を深めていくために、各種団体・大学講師によるSDGsについてのワークショップ(Global Workshop)などのプログラムも用意しています」
ほかにも、国際数理コースでは、短期・長期の留学を積極的に薦めている。ターム留学(3カ月)と長期留学(1年)が選択可能で、どの留学も単位認定または単位交換となるため、休学せず、入学年度が同じクラスメイトと卒業することができる。ターム留学は、たとえば高校2年次の7月から9月までの3カ月間で行う。留学後の学習支援もあり、授業の遅れは心配ないという。
>詳しくはこちら
3年制「国際数理コース」: https://www.kaisei.ed.jp/education/three-year/g-course
中学・高校でそれぞれ「帰国生編入学試験」を実施
帰国生向けの入試としては、「帰国生編入学試験」を実施しており、中学校と高校で、出願要件は異なる。
中学校では、基本的に随時、帰国生の編入学を受け入れている。年齢が日本の中学1~3年制に該当し、日本国籍を有すること。出願時点で海外の学校(日本人学校・海外現地校)に通算1年以上在籍し、在籍中または帰国後1年以内であることなどが条件となる。
中学校から編入した生徒は、原則、高校では普通科の6年制「特別教育コース」で学ぶことになる。6年制コースは、早期学習しているので、3年制コースに進学するのが難しいためだ。
「ただ、部活動を主体に高校生活を考えている生徒は、例外的に授業負担が少ない3年制『進学コース』(男子)、3年制『進学特別コース』(女子)への進学も可能です。また、別科である『ダブルディプロマ科』は、まったく異なるカリキュラムなので、進学しても支障はありません。むしろ、帰国生には推奨します」
>詳しくはこちら 海星中学校
入試案内:https://www.kaisei.ed.jp/examination/j_point/
高校では、ダブルティプロマ科で、海外在住者向けの入試を実施している。海外に在住している日本国籍の中学3年生が対象で、「専願」であることが条件となる。海外在住者向け入試は、12月と2月に実施しており、いずれも海外からのインターネット出願&オンライン受験が可能。試験科目は英語と面接(英語口頭試問)となっている。
国際数理コースを含む普通科への編入学試験もある。こちらも年齢が日本の高校1~2年生に該当し、日本国籍を有すること。出願時点で海外の学校(日本人学校・海外現地校)に通算1年以上在籍し、在籍中または帰国後1年以内であることなどが条件となる。普通科への出願は高校2年7月末までに限られる。
また、ダブルディプロマ科への編入学試験も用意されており、こちらは独自カリキュラムの都合上、高校1年7月末までの出願で、高校1年9月編入に限られる。
>詳しくはこちら 海星高等学校
入試案内:https://www.kaisei.ed.jp/examination/h_point/
短期・長期の留学制度も充実
海星中学・高等学校では、留学制度も充実している。国際数理コースの説明でも触れたが、ターム留学(3カ月)と長期留学(1年)の制度があり、イギリスやオーストラリアの提携校へのターム留学は希望者なら誰でも参加できる。
また、長期留学は交換留学のほか、私費留学の制度もある。交換留学の場合は、単位互換が可能で、私費留学は1年間休学をして、海外で学ぶことになる。
>詳しくはこちら
英語教育・国際教育:https://www.kaisei.ed.jp/international/exchange/
カトリック系大学への特別な入試枠もある
海星中学校・高等学校の卒業生の進路は、コースにより大きく異なるという。国際数理コースの生徒は、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、明治大学、青山学院大学、立教大学など、私立難関大学を目指す傾向が強く、合格実績も豊富だ。
「ミッションスクールである本校は、南山大学や上智大学といったカトリック系大学への特別な入試枠を持っています。毎年多くの生徒がこの制度を利用して進学しています。また海外大学への推薦制度もあります。2024年4月からスタートしたダブルディプロマ科の卒業生の進路にも注目が集まります」
>詳しくはこちら
進路状況:https://www.kaisei.ed.jp/course/
「心ある文武両道」を目指す海星中学校・高等学校は、国内難関大学を目指す生徒からグローバル志向の生徒、スポーツに力を入れる生徒まで、多様性が豊かなのが特色だといえる。ダブルディプロマ科がスタートしたことで、帰国生の受け入れもますます増加しそうだ。畠山先生も海外で学んだ帰国生が異文化体験を活かして活躍することに期待しているという。
「とにかく帰国生の皆さんには、海外経験を生かして、得意なことをどんどん伸ばしてほしい。本校には勉強、スポーツ、課外活動などいろいろなことにチャレンジしている生徒がたくさんいます。教員一同、生徒たちのチャレンジする気持ちを全力でサポートしていきます」