海外子女教育振興財団主催の第47回海外子女文芸作品コンクールの審査結果が発表されました。このたび、特別賞受賞作品をご紹介します。
このコンクールは、海外に在住する小・中学生が言語・風習・気候風土・治安など、日本と異なる生活環境の中で感じ、考え、感動したことを日本語で表現する力を育むために、1979年から毎年行われています。
今年の応募作品総数は31,196点(作文=2,057点、詩=2,538点、短歌=6,555点、俳句=20,046点)。日本人学校、補習授業校、私立在外教育施設等の先生方のご指導やご家庭でのサポートをいただき、多くの作品が集まりました。
これらの作品は予備審査を経て9月18日、海外子女教育振興財団(東京都港区)で行われた最終審査会において、文部科学大臣賞をはじめ、海外子女教育振興財団会長賞、後援・協賛者賞、特選、優秀、佳作が決定しました(特選・優秀・佳作・学校賞の審査結果は弊財団の文芸作品コンクールのサイトに掲載しています https://www.joes.or.jp/kojin/bungei)。
海外に暮らすお子さんたちの思いが息づく作品の数々を、どうぞご覧ください。
なお、今年の12月には、作品集『地球に学ぶ 第47回』が刊行される予定です。
こくみん共済賞
ジャミラおばさんとルビナおばさん
イスラマバード日本語クラブ(パキスタン)
中1 藤﨑 巴吏秀
新年のカンプールダム
親戚十一人でパラセーリングに挑戦した
僕が最初に挑戦し、次に弟が飛んだ
ジャミラおばさんも飛んだ
太っているから僕は少し心配だった
ボートに引っ張られるセイル
おばさんの高度がどんどん下がっていき
「チャポン」と静かに湖面に着水した
僕らは慌てて助けに行った
一月の水は冷たい
ジャミラおばさんは洋服が水を吸って
もっと重くなって四人がかりで引き揚げた
おばさんはずぶぬれで寒さに震えていた
早く濡れた服を着替えないと
その時次の順番のルビナおばさんが言った
「急いで一分で戻ってくるわね!」
まだ飛ぶ気なの!と全員が驚いた
「一生に一度のチャンスよ!」
「今飛ばなかったら、一生飛ばないわ!」
僕は本当に驚いた、ルビナおばさんは
ジャミラおばさんよりも太っているのだ
息子も絶対やめた方がいい、と説得した
それでもルビナおばさんは飛んだ
…と思ったら、ゴロゴロと地面を転がって
飛び立つ前に湖の手前で止まってしまった
僕たちは次の予定をキャンセルして
バザールでジャミラおばさんの服を買った
泳げないルビナおばさんは
水の手前で止まって良かったと笑っていた
みんなで親戚のいる村に向かった
車の中ではみんな大笑いで
どうしてこんなことになったのか
それぞれ好き勝手に言って笑っていた
その日は大勢で夕食を食べた
ダムに行かなかった親戚も集まって
大型テレビに今日のビデオを映して
みんなに何があったのか報告した
スローモーションで何度も再生しては
何がいけなかったのか分析した
「ジャミラおばさんの体重だろう。」
という人もいれば
「水に落ちたおかげで怪我をしなかった。」
という人もいた
確かに地面に落ちていたら大怪我だ
ルビナおばさんは笑って言った
「ジャミラは飛んだから良いじゃない、
私は転がっただけだわ。」
究極にポジティブな人たちだ
こんな親戚が僕は大好きだ
日能研賞
わくわくなカパハカ
カンタベリー補習授業校(ニュージーランド)
小2 石光 怜奈
クラスのみんなにきいてみた
どこからきたの
中国、イラン、スリランカ、
フィリピン、ロシア、トンガ
ぜんぶで十三の国からきているよ
みんなでハカのれんしゅうをするよ
ハカはマオリのダンス
むかしはせんそうのまえにたたかうれんしゅうのためだったよ
でもいまは新しくきた人たちをおまねきするためのパフォーマンス
ハカのダンスは手をつかって
ことばをあらわすよ
手のひらをひろげて、むねのまえで グルグルうごかすとわたしといういみ
りょう手で三かくをつくると山といういみ
たかい声やひくい声をだしながら
手や足をまえにうしろにうごかすと
わくわくたのしくなる
右のシンランと左のファティマとうごきをあわせるよ
こわい先生がこっちを見ている
しっかりしゅう中しなくちゃ
マオリの歌もおぼえたよ
月の歌がわたしのお気にいり
くらやみの中、
ロナという名まえの月をさがしにいくうた
ほしもキラキラ光っていて、
テカポで見たよるの空を思い出したよ
ともだちのモヤンもたのしそうにうたっている
新しくきた人をむかえる歌も気にいってるよ
手びょうしをしながら
リズムをとってうたうよ
元気がみんなにとどくといいな
いろんな国のともだちと
マオリのダンスや歌をいっしょにするとわくわくたのしくなるよ