こくみん共済賞

ジャミラおばさんとルビナおばさん

イスラマバード日本語クラブ(パキスタン)
中1 藤﨑 巴吏秀
 

新年のカンプールダム
親戚十一人でパラセーリングに挑戦した
僕が最初に挑戦し、次に弟が飛んだ

 

ジャミラおばさんも飛んだ
太っているから僕は少し心配だった
ボートに引っ張られるセイル
おばさんの高度がどんどん下がっていき
「チャポン」と静かに湖面に着水した

 

僕らは慌てて助けに行った
一月の水は冷たい
ジャミラおばさんは洋服が水を吸って
もっと重くなって四人がかりで引き揚げた
おばさんはずぶぬれで寒さに震えていた
早く濡れた服を着替えないと

 

その時次の順番のルビナおばさんが言った
「急いで一分で戻ってくるわね!」
まだ飛ぶ気なの!と全員が驚いた
「一生に一度のチャンスよ!」
「今飛ばなかったら、一生飛ばないわ!」
僕は本当に驚いた、ルビナおばさんは
ジャミラおばさんよりも太っているのだ
息子も絶対やめた方がいい、と説得した

 

それでもルビナおばさんは飛んだ
…と思ったら、ゴロゴロと地面を転がって
飛び立つ前に湖の手前で止まってしまった

 

僕たちは次の予定をキャンセルして
バザールでジャミラおばさんの服を買った
泳げないルビナおばさんは
水の手前で止まって良かったと笑っていた

 

みんなで親戚のいる村に向かった
車の中ではみんな大笑いで
どうしてこんなことになったのか
それぞれ好き勝手に言って笑っていた

 

その日は大勢で夕食を食べた
ダムに行かなかった親戚も集まって
大型テレビに今日のビデオを映して
みんなに何があったのか報告した
スローモーションで何度も再生しては
何がいけなかったのか分析した
「ジャミラおばさんの体重だろう。」
という人もいれば
「水に落ちたおかげで怪我をしなかった。」
という人もいた
確かに地面に落ちていたら大怪我だ
ルビナおばさんは笑って言った
「ジャミラは飛んだから良いじゃない、
私は転がっただけだわ。」

 

究極にポジティブな人たちだ
こんな親戚が僕は大好きだ