【質問】 海外生活を子どもにとって有意義なものにするためには、どうしたらよいのでしょうか。
はじめに
初めて海外赴任される方にとっては、外国で子どもを教育することに様々な不安を抱かれると思います。しかし、赴任する国が先進国であろうと発展途上国であろうと、どの国にもその国特有の優れた文化があります。そうした文化を理解し体験することによって、国際性を身につけ、将来世界のために活躍する人間に育っていくものと信じています。
与えられた海外赴任を絶好のチャンスと捉え、その国ならではの暮らしを前向きに楽しむようにすることが海外生活を有意義なものにする第一歩だと思います。
海外での教育事情は、国によって千差万別です。日本人学校がある地域、補習授業校のみある地域、現地校しかない地域等様々ですが、どのような教育環境であっても、親の確固たる教育理念のもとに、子どもの可能性を信じて、家庭の教育方針を貫くことが貴重な海外経験を実り豊かなものにする秘訣だと思います。
そのためには、事前に十分現地の学校事情を調査し、想定される在任期間を前提として子どもの年齢、性格等を考慮の上、最も適切と思われる道を選ぶようにしたいものです。

現地の学校情報収集
世界各地の学校教育は、それぞれの国の制度や文化によって内容が異なるものです。また日々の暮らしと学校関連への対応も日本国内と同じようにはいきません。渡航前に家族の教育方針に沿っていろいろと調べておきましょう。
家族会議を開く
調べたことをもとに、家族で十分に話し合いましょう。調べたことを子どもと共有するとともに、現地での学校生活や学習について具体的な話をして、子どもの気持ちをしっかりと把握し、家族全員が納得して出発できるようにしましょう。
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赴任中の親の心得
- 乳児は「肌」を離さず、幼児は「手」を離さず、少年は「目」を離さず、青年は「心」を離さず。
子どもの安全第一
海外ではどんな危険が待ち構えているかわかりません。子どもの安全を確保するための心構えと目配りを忘れないようにすることが大切です。
笑顔で育てる余裕
親がその国やその国の人々に興味を持って好きになり、楽しそうにしていることで、子育てにも余裕が生まれます。常にポジティブシンキングが大切です。
意識して対話の時間を
常に子どもとの対話を心がけ、言葉のキャッチボールを忘れず、良きインタビュアーになってください。
基本的生活習慣の確立
年齢に応じた自主性・社会性を育てることが大切です。
いつでも子どもの味方
どんなことがあっても、常に子ども側に立ち、子どもの話をよく聞き「あなたの味方だよ」オーラを出し続けるようにしてください。
いつも子どもをほめる
些細な事でもどんどんほめて、子どもが自信を持てるようにしましょう。自信が湧いてくると、子どもはどんどん伸びていきます。
子どもの海外生活を豊かなものにするために
- 親子で地域の行事に積極的に参加しましょう。親が積極的に現地になじもうとする姿は子どもに良い影響を与えます。
- 現地ならではの習い事をしてみましょう。現地の文化や伝統を知ることができます。
- 親子で言語習得にチャレンジしましょう。現地での生活がよりスムーズになります。
- サッカーや野球・バスケットボール等、興味関心のあるスポーツクラブや、音楽やバレエ等のサークルに入会し、現地や外国人の友達をつくりましょう。積極的に交流をもち、互いの国の文化や伝統を認め合いながら理解を深めていくことができます。
- 休日には家族で近隣地域を訪問し、現地理解を深めましょう。
「食」には国の特徴がよく現れます。その国ならではの食べ物を積極的に味わうことは楽しいですし、その国の歴史や文化を垣間見ることができます。日本の食文化との違いや共通点を親子で見つけながら、その国の良いところを発見できると海外生活がより有意義なものになっていきます。
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各教育機関で学ぶ際の留意点
- 日本人学校
異文化体験や現地語習得を親のできる範囲の中で工夫してみましょう。現地の人と家族ぐるみで交際したり、子どもを現地の音楽サークルやスポーツクラブ等に通わせたりするのも一つの方法です。そこでの友人が一生の友になっているという例は少なくありません。
- 現地校およびインターナショナルスクール
親子で気持ちを合わせて、子どもが学校生活や学習に適応できるよう支援しましょう。また、日本の学習にも力を入れることが大切です。
学校への協力
- 外国に住むことは「その国に住まわせてもらう」ということ 日本とは異なる習慣や法規があってもそれに従うのは当然のことです。学校への協力を惜しまず、学校と連絡を取り合いながら子どもが有意義な学校生活を送れるよう手助けしましょう。
- ボランティア活動への参加 学校へその意思をしっかりと伝えましょう。図書室での本の貸し出しや日本語指導の手伝い、昼食時の子どもの世話等、色々なものがあります。
- 学校との連絡を密に 子どものことで気になることや心配事が出てきたときは遠慮せずに担任の先生やスクールカウンセラーに連絡して具体的に話をしましょう。
- 行事への積極的参加 学校行事にはできれば両親そろって参加するようにしましょう。また課外活動の発表会や各種の表彰式などにもできるだけ参加しましょう。
- 「地域」「学校」「先生」への感謝を忘れずに 季節のカードや折り紙などを先生や校長先生、近隣の人々に贈り、できる範囲で感謝の気持ちを表しましょう。

帰国後までを考えた海外生活
現地校やインター校に通学させる場合は、家庭で日本語や教科の学習を補充することが大切になってきます。 また、幼児には母語としての日本語の基礎をしっかり身に着けさせることが大切です。家庭では親がしっかりした日本語を使い、定期的な読み聞かせや読書の時間をつくることが重要です。
記録に残す
親子で交換日記はどうでしょうか。お互いが海外生活で心に残ったことや腹が立ったこと、悲しかったこと、うれしかったこと等を200文字程度で書き残しておくことをお勧めします。後々のよき思い出として残りますし、入試での面接にとても役立つこと間違いなしです。
おわりに
「海外生活を子どもにとって有意義なものにする」ためには現地での学習や生活を中心に親子で考えることが第一ですが、同時に帰国後のこともしっかりと見通してバランスよく学習・生活していくことが重要になります。学習や生活のこと、帰国後の学校選択や受験のこと等で悩むことが出てきた場合は、海外子女教育振興財団の教育相談をご利用いただければと思います。
<相談事例>
〇出国前
- 子どもの出国時期
- 現地教育事情
- 学校選択
- 外国語学習準備
- 母語の保持・育て方
〇滞在中
- 子どもの帰国時期
- 現地での転学・進学
- 日本語力低下の懸念
- 統一テスト等の制度(IB、SAT、GCE等)
- 編入受け入れを実施している学校
〇帰国後
- 小学校~大学の学校選択
- 受験資格
- 外国語の保持
- 遅れている教科のキャッチアップ
学校生活等への適応
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<回答者> 海外子女教育振興財団 教育アドバイザー 友部 政勝(ともべ まさかつ) 海外で生活することに誰もが大なり小なり不安を抱くかと思います。しかし、子どもたちが異文化の中で生活しながら様々なことを経験し学ぶことは素晴らしいことだと思います。そしてそれらは、子どもたちの今後の人生において必ず大きな財産となり、人生を支えていく力になることだと信じています。 プロフィール
- 元茨城県公立学校校長
- 元カラチ日本人学校教諭、元クイーンズランド補習授業校校長、台北日本人学校校長
- 元株式会社三菱商事海外教育相談室長
- 2021年より現職







