JOES Davos Next 2024開催中!
2025年2月10日
Davos Next

JOES Davos Next 2024開催中!

グループディスカッション開始

JOES Davos Next 2024は宇宙飛行士・山崎直子さんの基調講演の余韻のなかで新しい年を迎え、1月19日、いよいよグループディスカッションが始まりました。


使用言語は例年通り日本語と英語。日本語グループと英語グループの数はどちらも6で、第1回目のディスカッションの日程は日本時間1月19日の午前8時、午前11時、そして午後5時。それぞれオンライン会議Zoomで開催されました。


「みなさん、おはようございます。あ、こんばんはの人もいますね」「日本は寒いみたいですが、こちらは夏ですよ」と、世界各地から参加者が集うJOES Davos Nextならではの挨拶が交わされ、自己紹介から課題発表、そして基調講演の振り返りと山崎直子さんへの質問と、ディスカッションが順調に進んでいきました。

(取材・執筆:只木良枝)

宇宙への関心の高さを実感

時間通りにZoomがはじまると、ファシリテーターに促され、各グループのメンバーはアイスブレイクを兼ねた自己紹介をはじめました。事前に各自が記入したワークシートをもとに、ニックネーム、今住んでいる場所、そしてその国や街の課題について発表していきます。

 

「住んでいる場所の課題」では、各自が上げた課題をそれぞれSDGsの17のテーマに関連付けて分類しました。水問題、森林火災、過疎化、ゴミ問題など、具体的なテーマがどんどん出てきます。また、戦争と平和、さらにはLGBTQなど、私たちの生命や人間の尊厳にかかわる話題にふれた発言もあります。

 

「僕の街では……」「私が見たのは……」と、自分の体験や見聞にもとづく発言が多かったのが印象的でした。子どもたちが日々の暮らしの中で様々なものに接し、様々なことを感じているのだということを実感させられました。子どもたちの言葉から、その街の光景が見えてくるような気がしました。

 

宇宙空間・宇宙での生活の課題についての発表では、やはり、山崎さんの講演で出たスペースデブリに関する話題が多かったようです。漫画や映画などいろいろなきっかけで宇宙に興味を持ったと話す子や、宇宙開発についてとても詳しい子もいます。子どもたちの宇宙への関心の高さに驚きました。

 

各グループのディスカッションを順番に覗いているうちに、バーチャル背景を、Zoomに標準装備された宇宙から見た地球にしている子が何人もいることに気づきました。「今日は宇宙の話をするんだから」と、ディスカッションに入る前に設定していたのでしょうか。

 

各グループに二人ずつ配置されたファシリテーターは今年も大活躍。うまく音声が出ない子にZoomの操作を指示したり、参加者が疲れてきたと見たら休憩を提案したり。「課題やっていないんだけど」と言う子に、「大丈夫、いま話しながら一緒に記入していこう」と優しく励ます場面もありました。

 

ファシリテーター同士のコミュニケーションもとてもよく、「この二人はプライベートでも仲良しなのかも」と思わせるような息のあったやりとりで、議論を冷静にリードしてくれました。

 

強力な「助っ人」たち

今回のディスカッションには、子どもたちの宇宙への興味をさらに深めてくれる強力な「助っ人」の姿がありました。

 

まず、宇宙開発フォーラム実行委員会(SDF)の大学生たちです。同会は、文理融合を掲げて多様な専攻で学ぶ学生たちが広い視野から宇宙開発について語り合う場をつくることを目的に設立された団体で、学際的な参加型シンポジウム「宇宙開発フォーラム」の開催や自主プロジェクトによって、学生の立場から宇宙開発に貢献しています。

 

委員会のメンバーが各グループのZoomに入り、ディスカッションで出た専門的な質問などに対応してくれました。中には自作のロケットを見せながら、ロケット発射からデブリの発生までの様子を詳しく教えてくれたメンバーもいて、子どもたちから質問が相次いでとても盛り上がっていました。

 

さらに、サプライズ企画として登場した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の方による「ミニ講演会」です。山崎さんの基調講演にも登場した「SORA-Q」という超小型の変形型月面ロボットについて解説してくださったのです。

 

ミニ講演会は各回のディスカッションの終了後に続けて3回開催。しかもすべてがライブという、とても贅沢な時間になりました。動画や写真を豊富に使用したSORA-Q開発の裏話はとてもエキサイティングでわかりやすく、レクチャーの後の質疑応答タイムでは次々に手があがって、予定時間を大幅に超過するほどでした。

 

最後に講師のおひとりから「昔と違って、今は宇宙の仕事への入り口がたくさんあります。みなさんといつか一緒に宇宙開発できることを楽しみにしています」というメッセージが。画面の向こうには、それを聞いて目を輝かせる子どもたちの姿がありました。

ディスカッションで使用したワークシート。同じ内容で日本語版と英語版を用意しました
ディスカッションで使用したワークシート。同じ内容で日本語版と英語版を用意しました

 

JOESマガジンのバックナンバーより

JAXAの人に聞いてみた 日本の宇宙開発

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(JOESマガジンの前身、月刊『海外子女教育』バックナンバーより)

 

宇宙航空研究開発機構(JAXA)のご協力を得て、ロケット、探査機、人工衛星、航空機など、JAXAが手掛ける日本の宇宙研究と開発についてまとめた2020年の特集です。JAXAで働いている元海外子女の4名の方からの熱いメッセージは必読です。