生徒一人ひとりに寄り添い
グローバル・コンピテンシーを育む
中高大連携のアクティブラーニングで育む主体性と課題解決力
東京都渋谷区笹塚に校舎を構える富士見丘中学高等学校。創立80年を超える歴史と伝統を引き継ぎつつも進化する教育を取り入れ、「国際性若き豊かな淑女」を育成する女子校だ。女子に特化したきめ細かい少人数教育が魅力で、帰国生に対する手厚いフォロー体制も高く評価されている。
「『国際性豊かな若き淑女の育成』は、本校が設立当初から変わらず掲げている教育目標です。グローバル社会で活躍するためには、従来型の学力だけでなく、思考力や表現力、創造力、行動力といった能力や資質を伸ばすことが必要不可欠です。そういったグローバルコンピテンシーを育むことを目指し、先進的な英語教育やアクティブラーニング、ICT教育を取り入れたカリキュラムを編成しています」
そう語るのは、同校の副教頭・佐藤一成先生だ。生徒にはただ言われたことをこなすのではなく、自ら課題を発見し、課題解決に向けて主体的に行動していく姿勢を育んでもらいたいという。
国際的に活躍できる人材育成を重点的に行う学校として、2015年度から2020年度まで「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に指定されていた同校。その後は、SGHの発展型ともいえる「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」のカリキュラム開発拠点校に選定され、指定を受けている。
“WWL”とは、高校や国内外の高校や大学、研究機関や企業との協業によって、高校生に高度な学びを提供するネットワークを構築することを目指す取り組みだ。富士見丘中学高等学校でも、中高大連携を取り入れた豊富なアクティブラーニングを展開している。
富士見丘中学高等学校が提供するアクティブラーニングの一例
例①
自主研究5×2(中1~高2)
生徒それぞれが自由に設定したテーマについて探究し発表をおこなう。平日5日間の通常授業からの学びと、週末2日間の自主研究を掛け合わせによる相乗効果で、興味関心を掘り下げていく
例②
鹿児島研修(高1)
2泊3日で鹿児島を訪れ、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている鹿児島県の池田学園池田高等学校と連携した探究学習と発表、意見交換をおこなう
例③
グローバルスタディ演習+SGH・WWL課題研究発表会(高2)
「海洋と地域経済(グアムフィールドワーク)」「環境とライフスタイル(マレーシアフィールドワーク)」「災害と都市生活(台湾フィールドワーク)」からテーマを選択し、高大連携によるプロジェクト学習と海外フィールドワークをチームでおこなう。グローバルスタディ演習を終えた後は「SGH・WWL課題研究発表会」を通して、全校生徒の前で英語によるプレゼンをする
「本校では、中学1年生からアクティブラーニングの基礎となるプロジェクト型学習を提供しています。高校生からは、国内外の高校や大学と連携した取り組みを展開。だんだんとステップアップするようにして、課題発見・解決の姿勢やスキルを身につけることができます。
そんなアクティブラーニングの集大成となるのが、グローバルスタディ演習と、そこでの学びをプレゼンするSGH・WWL課題研究発表会です。面白いことに、年を追うごとに生徒たちの発表内容やプレゼンの仕方が洗練されているんですよね。先輩たちのプレゼン発表を聞くことがいい刺激になって、レベルが引き上げられているのを感じています」(佐藤先生)
伝統的なノウハウと最新の指導法を融合した英語教育
富士見丘中学高等学校の特色のひとつに、先進的な英語教育がある。
まず同校では、それぞれの英語力に応じたコース制を採用している。中学では、「一般コース」と「英語特別コース」に大別し、「英語特別コース」はさらに「コース・A」「コース・B」「コース・インター」と細分化している。高校もそれを引き継ぐ形で「グローバルコース」および、「アドバンストコース」の「コース・A」、「コース・B」、「コース・インター」を揃えている。
帰国生といっても、それまでの学習環境によって英語の習熟度はさまざま。だからこそ、それぞれの生徒の学習歴と英語力に合わせた学びを提供する必要があると、英語科主任の田中裕樹先生は語る。
「例えば、日本人学校に通っていて英語にそれほど自信がない場合は『コースA』、インター校や現地校に通っていた生徒の場合には、上級の『コース・インター』を選択することが多いですね。
『コース・インター』では、英語に関する科目の授業は全てネイティブ教員が担い、ハイレベルな授業を展開しています。文学研究や多読、プレゼンテーションに加え、IELTSやTOEFLなどの資格試験対策を含めた多様な科目を設定することで、現地校で培った英語力を落とすことなく、海外の大学も視野に学びを深めていけるカリキュラムを構築している点が強みです」(田中先生)
また、どのコースにも共通しているのが「新旧融合型」の英語教育だ。
「本校には、これまで培ってきたオリジナルプリントを使った習熟度別の文法・読解指導や、長期的な語彙力増強に向けた充実した単語テストといったノウハウが蓄積しています。そういった伝統のノウハウは活かしつつも、海外在住のネイティブと話せるオンライン英会話やICTを活用した音読指導を導入するなど、最新の指導法も取り入れているんです。この新旧の両輪によって、読む、書く、聞く、話すの4技能を確実に伸ばしていきます」(田中先生)
さらに中1~高2を対象にした週末エッセイライティングの課題では、ネイティブ教員と日本人教員がコラボする形で添削。時間や手間を惜しまない丁寧なフィードバックの積み重ねが、英語力向上につながっているという。
「本校の『コース・インター』で学んだ高3のほとんどはCEFR C1レベル(英検1級)に達し、中にはC2レベルまで至る生徒もいます。学校全体で見てもCEFR B1レベル(英検2級)以上の取得者は例年8割前後、B2レベル(英検準1級)以上は3割前後で推移するなど、高い取得率を維持しています。先進的な英語教育ときめ細やかな指導体制の成果が、この英語資格の取得結果に表れているように思います」(田中先生)
少人数制ならではの手厚いフォローで、幅広い進路選択を実現
日々の学習から進路指導に至るまで細やかなフォローを受けられるのも、少人数制の同校ならではの強みだ。学習環境に不安を感じやすい帰国生向けにも、手厚いサポート体制が整っている。
「各学年に帰国生専門の学習サポーターを置くことで、入学後の学習のキャッチアップや、進路のアドバイスを丁寧におこなっています。例えば、漢字への苦手意識が強い帰国生に対しては、テスト問題に読み仮名を振るという対応もおこないます。帰国生だからと一括りにすることは絶対にせず、一人ひとりの状況に合わせた対応を徹底しています」(佐藤先生)
「生徒の頑張りを応援しサポートしていく面倒見のよさは、本校として大事にしているところです。生徒たちが一生懸命に学習と向き合う姿勢やその後の結果に、手応えを感じることも多いですね。それが私たち教員が帰国生の多様なニーズに応えようという原動力にもなっています」(田中先生)
進路指導でも、それぞれの志望や得意に合わせた丁寧なアドバイスを実践しているという。
「昨今はさまざまな入試形態があり、受験方法も進路選択のあり方も多様化していますよね。だからこそ、生徒には少しでもチャンスを広げてもらいたいと思っています。選択授業では、小論文対策や志望理由書の書き方の指導に加え、アメリカの大学進学に必要になるSATの中でも MATHを取り扱う科目を設定し、希望進路の実現をカリキュラムの上でもバックアップしています」(田中先生)
海外の大学との接続を推進しており、国内外で豊富な進学実績を誇るのも同校の魅力だ。これまでの実績から、海外の大学の試験情報はもちろん奨学金プログラムといった情報提供を受けられるのが心強い。
多様な価値観を認め合い、個性を伸ばしていく
富士見丘中学高等学校の帰国生入試は、英語エッセイなどの作文を中心とした「A方式」と、主に学科試験で構成される「B方式」の2種類。希望に応じて入試方式を選択できる。
中学帰国生入試
A方式
・英語エッセイ
・基礎日本語作文
+日本語による面接、英語特別コース・B及びインター出願者は英語面接
B方式
・第1科目
・第2科目
※国語・算数・英語から2科目選択。ただし英語特別コース出願者は英語選択が必須
+日本語による面接、英語特別コース・B及びインター出願者は英語面接
高校帰国生入試
A方式
・英語エッセイ
・基礎日本語作文
+日本語による面接、アドバンストコース・B及びインター出願者は英語面接
B方式
・国語
・数学
・英語
+日本語による面接、アドバンストコース・B及びインター出願者は英語面接
「本校では中学、高校ともに年2回の帰国生入試と、ニューヨーク・ロンドン・シンガポールの海外3会場での海外生特別入試を実施しています。また、学期に合わせて年3回の転編入試験もおこなっています。転編入の場合は帰国時期に応じて試験日を調整できるケースもあるので、タイミングが合わない場合も一度ご相談いただければと思います」(佐藤先生)
同校では年間を通して学校説明会や見学会を開催しているほか、会場とオンラインの同時開催で帰国生を対象とした説明会も実施している。そのほかの日程でも、学校見学は随時受け付けているという。
「生徒と保護者のみなさんには、後悔せずに納得できる学校選びをしていただきたいと考えています。ぜひ一度は本校に足を運んで、学校の雰囲気を体感いただいたうえで、帰国後の学校生活に思いを馳せてもらいたいと願っています」(田中先生)
「雰囲気でいえば、学校全体として『多種多様な人がいることが心地いい』という空気感が醸成されているように思いますね。これは、帰国生や外国籍の生徒の増加によって学校そのものが多様化してきたことが大きいと感じています。現在は、中高合わせた生徒全体の2割近くを帰国生が占めています。 富士見丘中学高等学校では、今後も帰国生を積極的に受け入れていく方針です。多様な価値観が溢れる環境で、ぜひそれぞれの個性を伸ばしてもらえたらと思います」(佐藤先生)