2023年9月1日
受け入れ校紹介

サレジアン国際学園中学校高等学校


自ら主体的に考える力を育む

 聖ヨハネ・ボスコは、19世紀のイタリアで貧しい青少年のために生涯を捧げ、教育事業に尽力したカトリック司祭である。彼が設立した修道会の想い(サレジアンファミリー)は世界へと広がり続け、現在では同じ理念をもとに教育を行う学校が97カ国に存在している。

その一つが、東京都の赤羽台にあるサレジアン国際学園中学校高等学校だ。本校はサレジアン・シスターズの姉妹校ネットワークを活かし、海外研修をはじめとするさまざまな教育を実施してきた。

当校の魅力である国際性は、「21世紀に活躍できる世界市民の育成」を目指して設置された二つのクラスからもうかがい知ることができる。「本科クラス」では、生徒が主体的に考えられるPBL型授業を取り入れるだけでなく、生徒の創造性も養成するプログラム「個人研究」を実施。大学のような異学年で構成されたゼミナールに所属し、生徒が自ら学ぶスタイルの育成を目標としている。一方「インターナショナルクラス」では、コミュニケーションを重視したハイレベルな英語授業で実践的な英語活用力を修得。アドバンストグループでは、英語だけでなく数学・理科・社会も全て英語で学んでいる。

さまざまなバックグランドを持つ先生たち


教育の根底に共通しているのは、21世紀に活躍できる世界市民を育成したいという思い。決まりきった一つの“答え”を暗記する日本従来の学校教育を打開し、生徒の思考力を伸ばす次代の教育システムが最大の特長であると、募集広報部部長の尾崎正靖先生は話す。

「めまぐるしく変化する現代社会では、自分の生活する国や地域の価値観にとらわれず、世界中の人々と協働し、答えのない課題に立ち向かう力が求められます。そうした力を培うため、当校では“世界市民力”として5つの軸を定義し、それに基づいた教育を実施してきました」

ここで“世界市民力”として定義されているのは、「言語活用能力」「数学・科学リテラシー」「コミュニケーション能力」「考え続ける力」、そして「心の教育」である。
5つに共通しているのは、いずれも与えられたタスクを正確に処理するためのものではないということだ。知識やスキルを身につけることは大前提とし、それをどのように活用していくのかという点に重きを置いているのだという。

「単に外国語を話すだけではなく、それを用いて他者と交流し、新しい価値を創造してほしい。単にテクノロジーの進化を追うだけでなく、自身もその担い手になってほしい。こうした思いを持ちながら教育プログラムを展開してきました。同時に、どれだけ優れた能力があったとしても、その使い方によっては間違いを起こしてしまうことがあります。生徒がそうした道を歩まぬよう、カトリックミッションスクールとして『心の教育』にも力を入れています」
 

生徒の個性を伸ばす独自の「PBL型授業」

PBL型授業の様子。正解のない問題に対し、自分の意見や答えを構築していく


こうした教育の理念を端的に表しているのが、「PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)型授業」であろう。

「本校のPBL型授業では、はじめに教員から明確な答えのない問いが投げかけられます。それに対し、まずはひとりで自分なりの答えを導き、続いてグループでのディスカッションを経て最も優れた答えを選出。最後にグループの代表者がクラス全体に対してプレゼンテーションを行い、クラスで一番合理的な答えを決定します。他者と協働していくなかで、論理的思考力を高めてほしい、かつ個の力をしっかりと発揮してほしいので、こうした取り組みをしています。これからの時代は、しっかりと論理的に考えることができ、かつそれを明確に伝える力が求められます」

PBL型授業は、各教科において単元が変わるタイミングで実施している。自ら考えるところから新しい単元を始め、生徒の学ぶ意欲を刺激することが狙いだ。この授業を心待ちにしている生徒も数多くいるのだという。

授業で最初に投げかけられる探究のきっかけとなる質問、いわゆるトリガークエスチョンの例を聞いてみたところ、「カーボンニュートラルに向けた原子力発電の是非」や「赤ちゃんポストに関する生命と人権の問題」といったように、大人でも思わず答えに詰まってしまうものばかりだった。生徒には一人一台デバイスが与えられており、自分で考えた解答の論拠をインターネットで模索し、その上で更に最適な解を構築していく。

「インターネットで調べているだけではないのか、といったご指摘をもらうこともあるのですが、決してそうではありません。自分で考えるところから始まり、その論拠をデータで固めていくのです。最後に教員からトリガークエスチョンの意図や発表の内容についてフィードバックを行います。フィードバックを受けていく中で、論理的に考える手法や分析するポイントを身に着けていきます。生徒からこちらの想定を越えた答えが出た時には、その柔軟な思考に驚かされるとともに、この授業をやっていてよかったと実感することができます」

 

帰国生も安心できる多様性に溢れた環境

世界に向けて自分の意見を発信する力を身につける

当校はインターナショナルのクラスを置き、帰国生、国内生など、多様なバックグラウンドを持つ学生がともに学んでいる。そのため、学内の交流を通じて異文化の生活や価値観に触れることができる。帰国生の中には、日本語に不安を感じる生徒もいて、日本語の授業も実施しているのだという。こちらから「帰国生一人ひとりに寄り添ったサポートを提供しているのですね」と投げかけたところ、尾崎先生から「特別にサポート体制を敷いている訳ではないのです」という意外な回答が返ってきた。

「もともと本校は国際的な背景を持つ生徒が4分の1を占めるような学校です。そうした中で教育を提供し続けているので、特に意識せずともすべての生徒が自分らしく学びを深められる環境が自然に整っているのです。校則は自由度が高く、生徒の突出したところを伸ばすという校風も海外の学校に近いので、帰国生にとっては間違いなくプラスになる環境だと思います」

生徒を無理に縛りつけず、何にでも挑戦できる余白を残しているのだと尾崎先生。多様性に溢れた環境で、人との関わりを大切にする心の温かい生徒が多いと話す。

「帰国生やその保護者の方は、日本の学校生活に馴染めるのか不安を抱いている方も多いと思います。その点、本校ではカトリックに基づく他者への思いやりの気持ちをベースに、生徒の個性を伸ばせるようなカリキュラムを用意しています。その結果として、現地校のような感覚で学び続けられるという評価の声もたくさんいただいています。説明会などで学校にきてもらえれば、本校の雰囲気を肌で感じていただけると思うので、そちらも参考にして選んでもらえるとうれしいです」

現在、新校舎を建設中で、2026年の9月から使用が開始される予定だ。普通教室、特別教室のほか、新たに食堂なども設置されるのだという。アップデートされた環境で、新しい時代を見据えた教育を受けた生徒たちは、どのような未来を描いていくのだろうか。今から胸の高鳴りを抑えることができない。

 

本パースは計画段階のものであり、変更となる可能性があります。
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所在地:〒115-8524 東京都北区赤羽台4-2-14
TEL:03-3906-0054 (代)
URL:  https://www.salesian.international.seibi.ac.jp
交通:「JR赤羽駅」北改札西口出口より徒歩10分
   東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道「赤羽岩淵駅」2番出口より徒歩8分
   国際興業バス・赤58 JR赤羽駅「西口5番乗り場」より東京北医療センター行き「師団坂通り」下車すぐ 
生徒数:男子131人、女子 190人
帰国生徒数:非公開
教員数:約60人
帰国生の出願資格:原則として、1年以上海外に滞在し、帰国後3年以内の者(詳細はご相談ください)

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