つらい気象病を軽減。日常生活に取り入れたい予防習慣3選  

気象病とうまく付き合っていくためには、まず自律神経を整えること、と岩見さんはいいます。  

 

「自律神経を整えるためには、生活習慣を整えることが重要だと言われています。日頃から疲労やストレスを溜めないようにし、規則正しい睡眠リズムを意識してみてください。睡眠不足はもちろんですが、寝過ぎにも注意が必要です。寝過ぎは副交感神経を過度に優位にして自律神経の乱れにつながるため、休日もできるだけ平日と同じ時刻に起床、就寝するのがおすすめだと言われています」   

 

自律神経を整える生活習慣と合わせて取り入れたいのが、それぞれの不調や症状が出るタイミングに合わせた対処法です。

 

今回はその一例として、2023年に頭痛ーる編集部が出版した『月間100万人利用アプリ!頭痛ーるが贈るしんどい低気圧とのつきあいかた』を参考に、気象病が引き起こす不調の予防や軽減につながる対処法を3つご紹介します。(書籍では、鍼灸師の森田遼介さんが監修)
 

 

①耳マッサージ  

 耳のマッサージで耳の周囲の血流を良くすることで、低気圧による体調不良の予防が期待できます。  耳の上の方を親指と人さし指でつかみ、ぐるぐる円を描くようにゆっくりと耳を回します。同じく逆方向にも回してマッサージしましよう。   

 

②ツボ押し  

めまいなどを予防するツボとしては、「翳風(えいふう)」が知られています。翳風は耳たぶの裏側のくぼみにあるツボです。首にはたくさんの神経が走っているため、強く押さずに市販のお灸やホットタオルなどを使って温めるようにしましょう。  頭部に重苦しい痛みを感じる緊張型頭痛には、後頭部の首上部にある「天柱(てんちゅう)」と「風池(ふうち)」を温めるのも効果的です。  頭痛症状を和らげたいときには、頭のてっぺんにある「百会(ひゃくえ)」や、手の甲の人差し指と親指の根本の中間あたりにある「合谷(ごうこく)」を痛気持ちいい程度の力で押してみてください。   

 

③首ストレッチ  

自律神経を整える意味では、自律神経が走っている首の筋肉を伸ばすストレッチを取り入れるのもいいでしょう。首のストレッチをするとリンパの流れがよくなり、首の疲れや顔のむくみもスッキリします。  やり方は、左手で右胸の鎖骨の上縁を押さえ、そのまま左上を向きます。首の横にある胸鎖乳突筋が伸びている感覚があればOKです。左右逆にして、反対側の胸鎖乳突筋もストレッチしましょう。   

 

 

引越しや移住がトリガーになることも。気象病に要注意なタイミングは?   

) 引越しや移住がトリガーになることも。気象病に要注意なタイミングは?

そもそも気圧とは、地球上にある空気(大気)の重さによってかかる圧力のことをいいます。周囲よりも気圧が低い低気圧では、その中心に向かって周囲から風が吹き込むことで上昇気流が発生し、雲ができます。その雲が発達して雨や雪になるため、低気圧内では天気が崩れるのです。  

 

では、体調を崩しやすい季節はあるのでしょうか。  

 

「低気圧による気圧変化や天気が崩れる事により体調を崩しやすい時期は、梅雨が訪れる5月末から7月初旬と、台風が到来する9月から11月。このような季節の変わり目に加え、冬も気圧差が生じやすいので注意が必要です。実際に『頭痛ーる』の月間ユーザーの推移を見ていると、梅雨や秋の時期に利用者数がグッと増えるんです。この時期に不調を感じる人は多いように思います」  

 

このような気圧変化による不調は、日本国内に限った問題ではありません。海外在住の方や、これから転居を予定している人も気象病に着目してもらえたらと岩見さんはいいます。  

 

「たとえばイギリスには、曇りや雨の日が多いイメージがありませんか。これも地理的に低気圧になりやすいことが要因と言われています。気圧変化もそれによる不調も世界共通のものであるため、今後は『頭痛ーる』のグローバル展開も予定しています。  また、ご協力いただいている医学博士の方から、遠方への引越しをきっかけに頭痛などの不調を訴える方も少なくないと聞きました。これにはさまざまな要因が考えられますが、その土地特有の気圧変化についていけないことが関係している可能性もあるようです。遠方への引越しや長期滞在を予定している方や、国内外で移住を検討している方にも、気圧変化に注目してもらえたらと思います」

引越しや移住がトリガーになることも。気象病に要注意なタイミングは?

 

自身の不調記録をつけることが、体調管理の第一歩!  

岩見さんいわく、気象病とうまく付き合っていくために重要なのは、自身の体調記録をつけること。睡眠時間などを計測し記録できるスマートデバイスの活用も有効だといいます。  

 

「手軽なメモとペンというのが、『頭痛ーる』の開発コンセプトのひとつでもあります。アプリなどを活用して、症状と考えられる要因をメモする習慣をつけると、だんだんと自分の体調の傾向が見えてくるはずです。  

 

これは実際のユーザーの声からわかってきたことですが、不調の要因が低気圧となっている人がいる一方で、気圧の上昇、そしてその両方に影響を受ける方もいらっしゃいます。  

 

自身の体調を記録することで、逆に『不調の要因は気圧ではなさそう』と判明することもあるかもしれません。気圧以外にも、睡眠時間やカフェイン摂取量、アルコール摂取量、基礎体温などを記録するのもおすすめです」  

 

日々の体調記録を通して体調不良の要因を見つけられれば、それだけで気分がスッキリして、精神的にラクになることも。不調の傾向がわかれば、スケジュールを調整するなど対策も立てやすくなります。  

 

「最近不調が続いている気がする」という方は、まず体調記録を習慣化することから始めてみてはいかがでしょうか?    

 

 

飛行機に乗ったときに感じる不調の対策法は?

飛行機に乗った際、耳が痛くなるなどの不調を感じた経験はありませんか。その原因となっているのが、気圧変化による「航空性中耳炎」です。航空性中耳炎とは、航空機の離着陸時の急激な気圧変化によって耳が詰まるような感じや軽い痛みが生じる中耳炎の一種です。  

特に小さい子どもや赤ちゃんは、大人以上に気圧の影響を受けやすい傾向があります。赤ちゃんが離着陸の際に泣き出して機嫌が戻らないときは、この気圧変化が理由かもしれません。  

大人やある程度の年齢の子どもの対策法としては、気圧変化が起こる前からこまめに水を飲む、アメを舐める、ガムを噛むなどして耳管を開くことが有効と言われています。それでも痛みを感じたときには、ダイビングなどで用いられる耳抜きを試してみるのもよいかもしれません。  

こうした対策の難しい乳幼児の場合は、離着陸の前のタイミングで授乳をするか、飲み物を飲ませてあげるとよいかもしれません。

 

 

 

【取材協力】 
「頭痛ーる」 気象を起因とする疾患を持った方の「気象や心身の変化による体調不良に備え、その不調を軽減したい」というニーズに応えることを目的に、ベルシステム24が開発・提供する、気圧予報に基づいた体調管理アプリ。気象庁から提供された気圧予報と、アプリで毎月収集している約120万件のユーザーの体調データを組み合わせ、導き出された精度の高い気象病予報は多くのユーザーに愛用されている。月間アクティブユーザー数は100万人、2024年6月現在、累計1,700万ダウンロードを達成。2023年には『月間100万人利用アプリ!頭痛ーるが贈るしんどい低気圧とのつきあいかた』(新潮社)を発売。   
気圧変化が体調不良の原因に!? 今日からできる「気象病」の予防&対処法
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