2023年9月1日
海外校シリーズ

アイルランド補習授業校

Japanese School of Ireland Company Limited by Guarantee   
URL: http://irelandhosyuko.wordpress.com    
児童生徒数:幼=11人 小=51人 中=16人

ユーモアとあたたかさの溢れる国

欧州の西の端にあるアイルランドは、緑の丘が続く美しい自然豊かな小国。              
人口は512万人ほどで、人よりもはるかに牛や羊の数が多いと言われています。

ウィロックの山々

おしゃべり好きで面倒見のいいアイルランド人は、店内に入ると「今日はあいにくの天気ね」、バス停での待ち時間を利用しては「ちっともバスが来ないわね」と、知り合いだろうが、初対面だろうが、関係なく気さくに声をかけてくる。朝のクラシックのラジオ番組での「道路交通情報の〇〇さん、いらっしゃらないのですか?」なんてことは日常茶飯事。こんなことくらいでイライラするどころか、笑って1日を過ごしましょうという、何とものんびりした人間味あふれたアイリッシュに、アイルランド補習授業校の教育活動もあたたかく支えられています。

アイルランドの公用語は英語とゲール語です。アイリッシュ英語は、アメリカ英語やイギリス英語とも異なった独特な発音。ゲール語は、小学校や中高一貫の教育課程で必修であるだけでなく、公務員や小学校教員になるためにもゲール語の試験で必要科目となっています。

小学部3年 国語



「学ぶ喜び」を学ぶ


本校は、幼稚部年中クラスから中学3年までの11クラスで、毎週土曜日3時間の保育授業を行なっています。児童生徒は、平日は現地の小学校や中高一貫校に通い、ほとんどの子供達が幼少時からゲール語を含めた英語、フランス語やドイツ語なども学びます。日常的に3ヶ国語以上に触れるとともに、国際色豊かな学校環境で国際人としての感覚を自然と身につけられることは、非常に恵まれていると言えるでしょう。          
 

休み時間の様子


本校が開校したのは、2011年4月2日。在籍児童生徒は50名ほどでした。 「学ぶとは楽しいを学ぶ」ことをモットーに、笑顔あふれる現場づくりを目指しています。          

算数・数学は学年ごとのクラスで、国語は学習難易度別のクラスでの授業を展開。楽しい学びを掲げている本校では、講師の説明を聞く受け身の授業ではなく、特に発言、発表、問題づくりなどをはじめとしたアクティブラーニングを積極的に取り入れた実践を行なっています。          

また、限られた時間の中での効果的な学習法として、学習内容の理解を深めるためにプロジェクターを通し、「見てわかる」授業を展開しています。例えば、新出漢字の成り立ちなどの視覚的教材や、音読や九九の家庭学習における講師作成の動画や音声教材、手遊びや歌の動画を用いた保育など。全校を通して視覚的に興味関心を高め、理解を深める指導を提供しており、子供達の基礎学力定着を目指しています。          
 

小学校1年 国語の授業の様子


国語の授業では、本校オリジナルのワークシート集を全クラスに提供。教科書にある読解や漢字の学習の際に、何を考えて、何を書き込んでいくのかが見てわかるようになっています。説明文の要旨や物語文の展開においては、表を使ってイラストや段落のまとまりが記入できるような構成です。また、難解な用語を用いたクイズづくりや、新出単語を教科書のページから探し出すような問題など、国語の教科書そのものが楽しめる教材となっています。          

そして、学習の意欲を高める取り組みの一つとして、全校での「縦のつながり」を大事にした活動に重きをおいています。 朝礼での音読発表では、低学年の児童は高学年の児童から音読学習の姿勢を学んだり、高学年の児童による企画「折り紙速折り大会」で日本の遊びに触れたりしています。特に中学生による幼稚部への絵本の読み聞かせでは、幼児にも理解できるように声音に注意して読むことと、お話の内容から生徒がクイズを出すことによって読解力を自然と身につけられる取り組みです。読む側の中学生も、聞く側の幼稚部児童も、その表情は真剣そのもの。指導者が敬意を払いたくなるほどです。このように教科書で学び、身につけた学力を、土曜日の3時間の中でしっかりと楽しく活かしていけるような学習環境を提供しています。          
 

幼稚部年中 粘土遊び


本校では年中から中3まで11年間、なかには12年間を過ごす子供達がいます。4歳から長い年月をかけて子供達の成長を見守っていけることは、大きな喜び。特に卒業時の感慨は言葉では表せないほどです。   

最近では、卒業生の何人もが、高校の職業体験の一環として訪れてくれたり、大学生がボランティアや講師として本校に自らの意志で戻ってきてくれたりするようになりました。そこでは、本校を巣立っていった生徒が先輩として、後輩たちへの漢字学習指導・サポートや、保護者への助言なども行います。補習校での苦労や喜び、学んできた意味などを、自信をもって語る彼らに、補習校の意義、そしてあり方について改めて考えさせられます。彼らは、この国における最大の日本人コミュニティとしての責務を担う本校の誇りです。     

 

中学部国語 毛筆

今後も我々の挑戦は続いていきますが、こうして日々子供達共に成長できることに心より感謝します。          
(2023年5月現在)          
 

子どもたちから  
小学部 本文紹介文の準備活動

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