コロナが世界中で猛威を振るっている中、和夫のシンガポール赴任が決まった。長女・万梨阿は大学進学のため日本に残り、和夫、月子、愛弓、3人での海外生活だ。 過去2回生活したイギリスとはまた趣の違うシンガポール。そこで、家族はまた新しい経験を積み、自分達の世界を広げていった。(仮名)
(取材・執筆:髙田和子)

シンガポールは「規制がしっかり」
イギリスから帰国して5年後、和夫は2020年10月にシンガポールに赴任した。月子と中学1年生を修了した愛弓は春を待ってシンガポールに渡り、万梨阿は大学進学のため日本に残った。
シンガポールは63の島からなり、最大の島はシンガポール島で、国土面積は東京23区とほぼ同じ広さだ。教育・医療水準や経済競争力は高い。人口の内訳は中国系(74.1%)、マレー系(13.6%)、インド系(9.0%)、その他(3.3%)(2022年)で、公用語は英語、中国語(北京語)、マレー語、タミル語だ。多くの人は二言語を操る。
コロナ禍の下でのシンガポールは行動の規制が厳しく、外出時のマスク着用義務に違反すると罰金が科された。出かけるときは家族でも「1グループ2人まで」と決められた時もあり、外食では1人と2人に別れてテーブルについて食べていた。
日本に住む万梨阿がシンガポールに訪れた時は制限が緩和されており、屋外でのマスク着用は個人の判断に委ねられていたが、屋内ではマスクの着用が義務付けられていた。
「当時、日本ではどこでもマスク着用しなくてはならない状況であるにもかかわらず、熱中症のリスクがある場合は着用しなくてもよい、といった曖昧な線引きでした。マスクを着用の線引きがされているシンガポールは合理的だなと感じました」と万梨阿。