2024年5月13日
Davos Next

JOES Davos Next 2023、そして2024へ

JOES Davos Next 2023を振り返る 
ファシリテーターのコメントから

JOES Davos Nextは、 2023から2024に向けて歩みを加速させています。
基調講演と世界中をオンラインでつないだ子どもたちによるグループディスカッションという枠組みは昨年と同様ですが、今年のテーマは「宇宙」。詳しい内容は、講師を含めて、現在各方面との最終調整を進めているところです。情報解禁まで今しばらく楽しみにお待ちください。

 

ところで、JOES Davos Nextにとって、主役となる子どもたちと同じくらい重要な存在が、ファシリテーターの皆さんです。ディスカッションが充実したものになるかどうかは、事前学習やワークシート記入などのリマインドと当日の意見表出のための司会進行を担う彼・彼女たちの手腕にかかっています。 

 

ファシリテーターの多くは、海外で育った経験がある、あるいは現在海外留学中などの高校生・大学生。参加者の子どもたちにとっては身近なロールモデルになる世代です。事実、JOES Davos Next2023 には、昨年は参加者だった子どもたちが高校生になり、「今年はファシリテーターをやりたい」と、立候補してくれた高校生の姿が何人も見られました。 今回は、JOES Davos Next2023を支えたファシリテーターからの声をお届けします。(在籍校・学年は開催当時のもの) 

 

※本コメントは、現在作成中のJOES Davos Next 2023 REPORTからの抜粋・要約です。

(取材・執筆:只木良枝)

 

ファシリテーターからの声1

河辺恵実(かわべ めぐみ)さん 
アメリカ 現地校G11

2022年度に中3の生徒として参加し、その時のファシリテーターが素晴らしい方だったので、私もやってみたいと思って応募しました。 ディスカッションでは、最初のうち発言の少なかった子どもたちがアイスブレイクをしているうちに饒舌になったことが嬉しかったです。また、余った時間で雑談をしていた時に子どもたちが自分の好きな本やペットを画面の前に持ってきて見せてくれた時には、ファシリテーターをやっていてよかったと思いました。 

 

ただオンラインだと緊張してしまう子がいて、話に詰まってしまい、思うように会話が弾まないことがありました。そういうときはファシリテーターが一人一人に意見を聞いていったのですが、そうするとそれは「子ども同士の会話」ではなくなってしまいます。もう少し我慢をして、ファシリテーターが発言しない時間をもっと作ればよかったと反省しています。また、私たちのグループのテーマは養殖だったのですが、ディスカッションでは環境問題全般に話が偏ってしまい、修正しようとしてもうまくいかず、困りました。一方、チャット機能を使って資料のリンクや説明を簡単にシェアすることができたのは、よかったです。また、スライドを画面共有してミーティングの流れを説明することで効率が上がりました。 

 

JOES Davos Nextのミッションは「20年後の未来の日本を支える原動力となる未来世代の子どもたちを育てる場づくり」だと聞いていますが、それは達成できたと思います。ディスカッションを進めていく中で、リーダーシップを発揮する子どもが何人もいました。いろいろな国に住んでいる子どもたちが同じ興味を持った人と交流し、英語で議論をするというのは、学校ではできない経験です。また、大人では思いつかないような斬新なアイデアにも驚かされました。今後の日本にはこういった行動力や創造力のある人材が求められるのではないでしょうか。     

 

ファシリテーターをしたことは、私にとってかけがえのない経験になりました。 次回もファシリテーターとして参加したいと思っています。今回とは違うテーマのもと、ディスカッションに参加する子どもたちの成長を見るのが楽しみです。今回は私自身も少し緊張していて、それが子どもたちに伝染してしまいましが、次回はもう少しリラックスして、もっと頼れるファシリテーターになりたいと思います。

 

ファシリテーターからの声2

丹由美子(たん ゆみこ)さん 
日本 北海道大学大学院修士課程

世界各地に暮らしている、選挙権は持たないけれどもこれからの社会問題を解決する鍵を握る子どもたちの想像力や発想力に触れてみたいと考え、ファシリテーターに応募しました。同時に、子どもたちには、今後の学業や生活においてそれらの力が重要になるということを伝えたいと思いました。 

 

私が生まれ育ったガーナでは、感染症の蔓延、森林伐採、大気汚染等の環境問題が年々深刻化し、多くの人々が命を失っています。それを幼い頃から目の当たりにしてきた私は、現在大学院で日々環境と人間の相互作用の研究を通して、健全な環境が命をまもる上でいかに重要かを学んでいます。その意味で、私自身が環境問題の基礎を復習する良い機会にもなりました。 

 

年齢も学年も出身国もバラバラな子どもたちでは、個々の理解度やニーズも異なるので、それぞれの学年に応じた学びに繋がるようにサポートするにはどの目線に合わせるのがベストなのか悩みました。しかし、それらをグループで共有し合えたからこそ、同じ問題をいろんな角度や深さから俯瞰することができ、深い学びに繋がったと感じています。「環境問題は自分と関係ないと思っていた」などの素直な意見もありました。最初は「環境問題は政治家たちがなんとかしなければいけない問題」だったのが、「自分にもできることがあるんだ」と変化していった子もいました。 

 

ディスカッションのはじめの頃は、制度見直しやルール、罰則などなどの側面からの解決策を提案する声が多かったのですが、進むにつれて「ゲームで理解を深める」、「他分野の専門家との協力を推奨する」などポシティブな提案が出てくるようになりました。この変化はとても印象的でした。 

 

オンラインミーティングは、世界中どこからでも、たとえ移動中でも参加できます。そのメリットはとても大きいです。画面上で全員の状況を平等に把握できます。しかし通信トラブルもあります。通信環境が整っていない子や、移動中に参加している子が、みんなから取り残されたような不安を抱かないように、ペアになっているファシリテーターと役割分担をして円滑に進行できるよう努めました。 身近な問題に日頃からアンテナを張り巡らせ、自分の視点を活かし、かつ他者の視点も理解し共に創造していく力を、今回の参加者全員から感じました。このような学びの場を提供し続ければ、「ダボス会議に行くような人材を育てたい」というJOES Davos Nextの夢は実現すると思います。 

 

私は今後も環境問題の解決を目指して研究を続けます。同じゴールを見つめて学びを深めている子どもたちの存在は、今後私の背中を押し続けてくれる力です。

 

ファシリテーターからの声3

黒川倫太郎(くろかわ りんたろう)さん
アメリカ 現地校 G12

僕は海が抱えている環境問題にはもともと関心を持っていたつもりでした。しかし、JOES Davos Nextのファシリテーターをすることになって改めて調べ始めてみると、環境省などの公的機関や団体がとても詳しいWebサイトをつくっていて驚きました。知りたい・調べたいという気持ちや機会さえあったらこれだけの情報にアクセスできる。せっかくあるのにもったいない、もっと活用されてほしい、そうしたら環境問題がもっと知られて解決に向かうのにと思いました。 

 

現地校のヒストリーの授業などではよくディスカッションをするので、ディスカッションをつくる側のファシリテーターという立場に興味がありました。普段は参加者の側なので自分が場づくりをできるかという不安は少しありましたが、みんなが楽しく取り組んでくれればいいなと願っていました。 

 

僕のグループの使用言語は英語で、子どもたちの居住地は日本、中国、アメリカの東海岸、西海岸と地域がバラバラでした。住んでいる場所が違うと見えるものが違うのだろうなと感じました。子どもたちは僕が考えていたよりもずっと活発に発言してくれました。低学年なので無理かなと思っていたのにきっちりとリサーチしてきたり、ちょっと突っ込んだ質問をしてもちゃんと自分のことばで答えてくれたり。ディスカッションのプロセスそのものを楽しんでいてくれたように思います。また、「ディスカッションをしよう」という意識をきちんと持って準備をしてきていたようで、みんな宿題をしっかりやってきていて、調べたことをもとに論理的に発表していました。ファシリテーターとして、みんなのモチベーションを高められたのだとしたら嬉しいです。 

 

時には議論が活発化しすぎることもあり、ファシリテーターがどこまでかかわるべきかについて悩みました。ただ、議論がずれてしまったり、活発になりすぎたりしたときは、「話を戻そうね」と呼びかけるとみんなちゃんと軌道修正してくれます。発言の少ない子を指名してみると、とても面白い意見を言ってくれたこともあります。逆に、発言力の強い子が自分の調べてきたことをもとに発言して、その結果さっきまである方向でまとまりそうだった議論が引きずられて、方向転換してしまったことがありました。ファシリテーターとしてはとても面白い場面だったのですが、実際にどのようにハンドリングするべきかちょっと迷いました。 

 

僕は6月に高校を卒業して帰国、その後大学を受験します。2024年の秋は受験準備で難しいかもしれませんが、大学生になったらまたファシリテーターとして戻ってきたいと思います。 

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