2024年3月11日
Davos Next

JOES Davos Next 2023、そして2024へ

JOES Davos Next 2023の振り返りとして、前回のJOES理事長綿引宏行インタビューに続いて、今回は運営委員からのコメントをご紹介します。 

 

2022年のJOES Davos Next立ち上げの時からかかわり、ともに育ててきてくださった運営委員の皆さんの目に、今年のJOES Davos Nextはどのように映っているのでしょうか。寄せられたコメントには、参加した子どもたち、ディスカッションを支えたファシリテーターへの賞賛や期待の声、そして見えてきた課題の解決に向けた意欲的な言葉が並んでいました。

 ※本コメントは、現在作成中の『JOES Davos Next 2023 REPORT』からの抜粋です。 

(取材・執筆:只木良枝)

 

 

JOES Davos Next 2023を振り返る
運営委員のコメントから

 

 

■辻村 清行さん(東京大学大学院情報学環客員教授) 

 

JOES Davos Nextは、将来ダボス会議で活躍できるような人材を育てるためのグループディスカッションの場をつくるという目的でスタートしました。ですから、やはり4回のディスカッションは最後まで出席することに価値があると思います。ディスカッションのファシリテーターをつとめてくれた高校生・大学生は、異年齢で異なるバックグラウンドを持つメンバーの意見をまとめてくれました。この貴重な経験は、社会に出てもきっと役立ちます。各グループの成果動画の内容は素晴らしいのに、発表の仕方に少し工夫が足りないと感じることもあり、この部分をファシリテーターがもう少し指導できるようになればと思いました。 

 

昨年のJOES Davos Nextに参加した学校同士が、その後も交流を続けているそうです。私たちはそこまで想定していなかったので、これは嬉しい驚きでした。そういう意味でも学校参加校をさらに増やしたいのですが、どうしても時差の問題があります。そこで同期(リアルタイム)・非同期をうまくミックスさせて、たとえば講演部分だけをパッケージにしておいて多言語版を用意し、質疑応答の部分だけはライブとして複数回実施するなどの方法も今後検討していきたいと思います。  

 

 

■山本 良太さん(大阪教育大学 理数情報教育系 特任准教授) 

 

グループディスカッションでは、まずアプローチを決めてから具体的な解決方法の検討をするという方法をとりました。問題解決では、これまでの知見を参考にすることが大切で、その際たくさんの中からどのような知見を探すのか見当をつけるためにもアプローチを決めることは大切です。きちんと道すじを理解してくれたグループもありましたが、初めての経験だったかもしれず、全体的にちょっと難しかったかもしれません。来年度に向けての検討課題です。

 

成果動画では、予想通り「SNSで発信」というアイデアが多く見られました。しかし、もっと視点を自由に広げてもよいのではないでしょうか。一例ですが、「冷凍技術を開発して食品ロスをなくす」など、新しいテクノロジーを応用して問題解決を目指したグループもありましたし、今自分たちができることだけでなく、これまでの取り組みを踏まえて新しく自分たちが作っていく、という考えを持ってもらえるとよいかと思います。 

 

ディスカッションの場は、いつもの学校とは異なるため、積極性を発揮しきれなかった人もいたかもしれません。その中で、昨年参加者としてJOES Davos Next の楽しさや意義を感じてくれた子どもたちが、今年ファシリテーターになって戻ってきてくれたのはとても嬉しかったです。JOES Davos Nextは、熱意や積極性を発揮できる場ですので、ぜひとも安心して参加してほしいです。 今年度の取り組みは、学校での応用も視野に入れたものでした。今後は基調講演を踏まえた振り返り用のワークシートを用意するなど、さらに学校現場で取り上げてもらう工夫や使いやすい仕組みを整えていきたいと思っています。  

 

■桑原 りささん(フリーキャスター)

 

基調講演では、リアルタイムのチャットだけでなく、オンデマンド配信からも質問がたくさん寄せられました。可能なら、もっと答えてあげたかったと思いました。 

 

子どもたちが「明日からの行動宣言」をしたことで、海の課題が自分ごとになりました。特に英語チームのプレゼンテーションの「見せ方」が素晴らしかったです。スライドの文字、写真などビジュアルが工夫されていて、海外でプレゼンテーションが上手な大人を見て育っているのだろうなと感じました。 

 

事務局から提供された基本構成と文字だけのパワーポイントをそのまま使っているチームもありましたので、工夫して自分色を出して表現できるようにファシリテーターがサポートしてあげるといいかもしれません。プレゼン技術についての研修があるともっとブラッシュアップできるようにも思いました。 

 

今回、世界とつながることができた子どもたちがそのネットワークをキープして更に活かしていくために、その受け皿になれるよう仕組みを作ってあげられるといいなと感じました。

 

■齋藤 暢さん(仙台市立南小泉中学校夜間学級 教諭) 

 

JOES Davos Next のグループワークの意義は、異年齢の子どもたちと協働し、つながるという経験をすること、人生をゆたかにする素晴らしい取り組みだと思います。 

 

リアルタイムでつながれるというワクワク感は、何物にも代えがたい貴重なものです。時差の問題を解決するには動画の活用は有効なのは確かですが、リアルタイムと同じ感動を得られるわけではないので、何か工夫をする必要があるでしょう。 学校現場は行事のスケジュールが決まっていて、そこにカリキュラム外のことが入ってくると対応するのが難しい。JOES Davos Nextに取り組みたくても、スケジュールの都合などで取り組めない先生もきっといらっしゃるのではないでしょうか。そこを何とか解決できればと思っています。 

 

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