渡米した時は幼稚園児だったヒロも、現在中学生だ。学校でも地域でも持ち前の社交性を発揮して伸び伸びと毎日を送っている。 そして、毎年夏には大好きな日本で体験入学をしている。 トモ、ヨウコ、ヒロ、それぞれに日米の文化の違いを楽しみながら、世界を広げているようだ。(仮名)
(取材・執筆:髙田和子)
プレゼントは体験型
トモとヨウコのヒロへのプレゼントは品物でなく「体験」だ。記憶に新しい体験は、ニューヨークのナショナルミュージアムに泊まることだった。映画『ナイトミュージアム』※をもとにした企画で、家族で寝袋を持って夜間に閉館したミュージアムに泊まった。映画では、展示の絵から人が出てきたり、蝋人形が人間になって動き出したりするのだが、この企画では客がいないなかでミュージアム内を歩いたり展示物を懐中電灯で照らしたり博物館のスタッフの説明を聞いたりする。普段は混んでいるが、この企画では動物の模型や標本などもゆっくり見られる。
※映画『ナイトミュージアム』……夜になると展示物が動き出す不思議な博物館で、夜間警備員として働くことになった主人公の活躍を描いた映画。ニューヨークに実在するアメリカ自然史博物館が舞台となっている。
「一般の訪問客がいないので、『ミュージアムを独り占めしている』感じで楽しめました」とヨウコ。
館内を巡った後、就寝するのは11時か12時だ。イベントは子供が対象だが、大人が付いて行くことが参加条件となるので親子で一緒に楽しめる。
「ちょっと高いけど、奮発した体験型プレゼントです」
体験のアイデアはひょんなところから出てくる。
ヒロがアラスカの犬ぞりのビデオを見て、「犬ぞりに乗りたい」と言いだした時は、春休みの旅行先のカナダで犬ぞりとスキーを楽しむことにした。
初夏、家の近くのブルーベリーの畑が豊作の時にはビー玉のような大きなブルーベリーを摘んだ。秋にはリンゴ狩りもする。
「ある意味、行き当たりばったりですが、したいことがでてきたときに『よしやろう』というのが私たちの楽しみ方です」
アメリカの誕生会
アメリカでよく見かける体験型のプレゼントと言えば子どもの誕生会だ。子ども向けのバースデーパーティーにはパターンがあって、どこかの施設に行って用意されたアミューズメントを楽しみながらお昼を食べるのだが、それはボーリングだったりテニスだったりと多様だ。
印象に残っているパーティーは6年生の時に招待された室内スカイダイビングだ。巨大な筒の中に入り、扇風機で風を送ることで1~2mほど浮遊する。
「お誕生会向けのパッケージとして実に多様なアクティビティが用意されており驚かされます」とトモ。